苦悩の在日ロシア人と、憤怒のウクライナ人 日本で繰り広げられる「もうひとつの戦争」に迫る

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 未だ終わりが見えないロシアvs.ウクライナの「露ウ戦争」。日本にも多くの両国民が生活し、それぞれの仕方で祖国の現状と向き合っている。ジャーナリストの鈴木美優氏が在日ロシア人、ウクライナ人双方に取材。苦悩に満ち、また憤怒に駆られる各々の本音に迫った。

 ***

「俺の家族や友人を殺したのはお前たちだ!」

 6月11日、東京・渋谷駅ハチ公前。在日ロシア人らによる反戦デモに飛び込み参加をしたウクライナ人の男性が声を上げた。

 この日は、1990年にロシアの国家主権宣言が採択されたことを記念する祝日「ロシアの日(6月12日)」を前に、ロシアの自由や民主化を求めるデモが世界中で繰り広げられていた。日本では「戦争に反対する在日ロシア人」という団体がこれを主催し、約12人が渋谷駅前に集まった。

 それに水を差すかのような“闖入”劇――。

「私が殺したとでもいうの?」

 このウクライナ男性は、「戦争反対」などと書かれたプラカードを持つロシア人らの横に立ち、「ロシアの日にロシア人がこれまでの実績を祝っている」と書かれた紙を掲げた。紙には、ウクライナやシリア、ジョージアなどロシアから攻撃を受けたことのある国の破壊された建物や犠牲者の写真が貼られている。並んで立つロシア人らは決まりの悪そうな表情を浮かべたものの、気にせずデモを続けた。

 ウクライナ男性は追い打ちをかけるかのように、

「お前たちロシア人のせいで負傷・死亡した兵士や市民をたくさん見てきた」

 と非難の声を浴びせる。

「私が殺したとでもいうの?」

 隣にいたロシア人の女性は顔をしかめながら反撃。“論争”はその後も続き、辺りは騒然とするばかりであった。

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