オリックスに4連覇の使者がやってきた!広島からFA移籍「西川龍馬」が貫いた“オリックス愛”

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「オリックスが地元なんで」

 もちろん、打撃面での期待はさらに高い。

 2023年も3割5厘でセ・リーグ2位。規定打席に届いていない年も含まれるが、プロ8年間で4度の3割超え、5度の100安打超えをマークし、通算打率も2割9分9厘。2019年には27試合連続安打をマーク。ワンバウンドの球をヒットにしたこともあり、福良GMが「天才的なバットコントロール」と表現するのは大袈裟でも、何でもない。

 その西川は、オリックスの本拠地・京セラドーム大阪の近くに実家があり、子供の頃には「しょっちゅう、行ってました」という、バリバリの大阪人。2022年3月に配信された「上馬場雄介の上昇気流」というYouTubeチャンネルで「出て行ってくれと言われたら、カープ以外の球団でどこに行くか」という、何とも際どい質問に、西川はこう答えていた。

「僕は地元が好きなんで、カープに捨てられて、どこでもいいよと言われたら、僕はオリックス。オリックスが地元なんで。小学校の頃は阪神ファンでしたけど、僕、甲子園があんまり得意じゃないんで」と“オリックスびいき”を公言。さらに「オリックスが5000万、阪神が5億って言われたら?」という、重ねての質問に対しても、こう即答しているのだ。

「いや、それでもオリックス行きます。しっかり複数年で」

 まさに相思相愛。その切なる思いは、見事に結実した。

「連覇して、自分が来て優勝を逃せば『俺が来たから』と言われかねない。そこはしっかりとやりたい。なかなか、地元でプロ野球球団があるということもない。こうやって戻って来て、やってやるぞ、という気持ちがあります」

 その話すトーンも、自然な関西のイントネーション。そもそもが明るい、穏やかなチームカラーが「カープに似ていますね」というオリックスに馴染むのも、きっと早いことだろう。

 背番号「7」は、前身の阪急なら福本豊、オリックスでは糸井嘉男、敦賀気比高の先輩で現ボストン・レッドソックスに所属するメジャーリーガー・吉田正尚が担ってきた。その“看板番号”を背負うのにふさわしい実績とオリックス愛を兼ね備えている。

 4連覇への使者。そう期待しても、大丈夫だろう。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ!プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」(光文社新書)

デイリー新潮編集部

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