世界三大ギタリスト「ジェフ・ベックさん」、挑戦を続けたレジェンドは“ベジタリアン”で“親日家”【2023年墓碑銘】
ギターの音の発明家
音楽評論家の湯川れい子さんは言う。
「穏やかでもの静かな人です。常識を壊すのではなく、幅広い音楽分野を敬意とともに受け止め、ギターでどう表現できるか試みた」
自身が歌うことはほとんどない。作曲もしなかった。
ニッポン放送の元社長、亀渕昭信さんは思い返す。
「ギターの音の発明家のよう。ギターが自分の体の一部みたいで、声の代わりにもなっていると感じました」
ピックを使わず直接指で弦を弾く奏法のため指1本に100万㌦の保険をかけていたという。一方で、車の分解や修理を楽しみ、ベジタリアンゆえ野菜作りもしていたという鷹揚さだ。
酒や薬物は演奏や創作に何の助けにもならないと断言。結婚したが子供はおらず、家で過ごすのを好んだ。
来日は2017年まで15回以上。親日的だった。
「日本人は自分の創意工夫を理解してくれている、とくつろいでいた。ステージを離れて三味線も手にしていました」(増渕さん)
アメリカ音楽界最高の栄誉であるグラミー賞を8回も受賞。ロックの殿堂入りも果たす。昨年は俳優ジョニー・デップとアルバムを発表、公演に立つなどなお進化を続けていた。
1月10日、細菌性髄膜炎のため、78歳で逝去。
毎日約2時間の練習を欠かさぬひたむきさがあった。
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