【ゴルフ】「飛ばないボール」採用はアマチュアも対象に… 「ゴルフが生き残るために」浮上するもう一つの制限案

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クラブの本数を制限するアイデア

 賛否両論が飛び交う一方で、「制限すべきはボールだけではない」と異なる見方をしている選手も見受けられる。

 アイルランド出身でメジャー3勝の大ベテラン、パドレイグ・ハリントンは「ドライバーのヘッドのサイズも、ゴルフバッグに入れるクラブの本数も、どちらも制限したほうがいいのでは?」という新たな提案をXに投稿した。

「この2つを制限することで、ゴルフというゲームはこれからも生き残ることができる」とハリントンが指摘すると、飛距離規制に反対するキムがすぐさま「クラブの本数制限には大賛成だ。バッグに入れるクラブを10本に制限すれば、誰もが1本のクラブでいろんなショットを打つ必要性に迫られ、技術力が高められる」と賛意を示した。

 さらには、PGAツアーとDPワールドツアーの双方から離れリブゴルフへ移籍した英国出身のベテラン、リー・ウェストウッドも「ゴルフの飛距離問題は常にボールとドライバーをセットで考えるべきだ」と語り、ハリントンが提案したドライバーのヘッド容量の制限も不可欠であることを強調していた。

 異論反論はあるものの、この議論が熱く交わされている背景には、選手たちのゴルフに対する真摯な姿勢と深い想いが感じられる。ある意味、とても健全な論争という印象を受ける。

 だが、その一方で、プロ・アマを問わず飛距離アップを必死に目指してきたすべてのゴルファーが「飛ばないボール」の使用を求められ、やがては「飛ばないドライバー」の使用も求められ、ゴルフバッグに入れるクラブの本数も制限される時代が訪れることを想像すると、少々複雑な気持ちになる。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やテレビ・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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