「親御さんの職業、年収は?」 宝塚・親会社のトップが音楽学校で“コンプラ無視”の面接、「会見後に旅行の話を楽しそうにしていた」との証言も
〈向こうの弁護士が言ったのが、すべて正しいとは思っていません〉
目下、Aさんへのいじめやパワハラを「確認できなかった」とする劇団側と遺族側との主張には大きな隔たりがあり、先月末には遺族の代理人である川人(かわひと)博弁護士が、劇団との直接のやり取りを公表した。
「双方は11月24日に大阪で面談したといい、遺族側は『パワハラが否定されたままで合意解決はあり得ない』『(劇団側による)調査報告書のパワハラ否定の根拠は事実認定も評価も間違っている』と訴えている。2回目の交渉は、今月後半にも行われる予定になっています」(同)
対して劇団側は、
〈現時点で特定のパワハラの存在を認めてはいない〉
との主張を貫いており、
「実際に11月14日の会見では村上専務理事が、Aさんが上級生から額にヘアアイロンをあてられてやけどした件について『故意ではない』とし、遺族側の反論にも『証拠となるものをお見せいただきたい』などと再反論して物議を醸しました」(同)
加えて、親会社トップである阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長も本誌の取材に、
〈向こうの弁護士が言ったのが、すべて正しいとは思っていません〉
などと言い放っていたのだ。
「親御さんの職業、年収は?」
「今回の悲劇は、角さんが進めてきた利益優先の経営が引き起こしたと言っても過言ではありません」
そう指摘するのは、さる劇団関係者である。
「2005年に阪急HD(当時)の社長に就任した角さんはこれまで、110年の歴史を誇る歌劇団を“金稼ぎの手段”とみなすような言動が目立ちました。角さんは、先日まで理事長に就いていた宝塚音楽学校の入学試験で面接官も務めており、受験する生徒たちに『親御さんの職業は?』『年収は?』などと、容赦なく質問を投げかけていたのです」
劇団員に“チケットノルマ”が課せられていることは本誌でもお伝えした通り。さる現役団員の父親が、
〈チケットをさばける生徒は良い役につけてもらえます。(中略)大切なのは親の職業。地域の医師会の役員や上場企業の社長ならば関係者も多く、“ノルマ”もこなしやすい。トップに上り詰めるためには、実力だけではなく、カネとコネが重要だということです〉
そう証言していたように、保護者の社会的地位や収入が大いに意味を持つ。従って面接における角会長の“コンプライアンス無視の問い”もうなずけよう。さらには、
「角さんは数年前、音楽学校の卒業式でも、『君たちの学費の3分の2は阪急が賄っています。歌劇団に入団した後は、それに見合う働きをしてください』などとスピーチし、式の雰囲気が台無しになってしまったことがありました」(同)
というのだ。
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