「誰もが人工衛星のように軌道に乗って生きている」 JAXA研究員の久保勇貴が上京して感じた東京の特殊性
誰もが誰かのせいだという顔で…
JAXA宇宙科学研究所研究員で、エッセイ集『ワンルームから宇宙をのぞく』を刊行した久保勇貴さん。福岡生まれの彼が学生時分に足を踏み入れた東京の街では、人々はまるで人工衛星のように軌道に乗って生きていて……。
***
午後の山手線は、ひなびた低軌道のようだった。周回軌道に乗る僕らは、淡く照る人工衛星だった。大学の授業が無い平日だったと思う。車内は肩をぶつけ合うほどは混雑していなくて、だから、誰もが誰とも目を合わさないでいることができた。...