旧ジャニ新会社が間もなく発足 新社長・福田淳氏が民放各局を挨拶回り…なぜこれほど時間がかかったのか

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福田氏の沈黙の謎

 一方で、福田氏が沈黙を続けていることを訝る芸能関係者も増えていた。福田氏は11月9日、旧ジャニーズ事務所の社員たちに向かって「今まで見たことがないくらいの大逆転を皆さんとやりきりたい」と熱弁したが、その後は口を閉ざしている。対外的な言葉は一切ない。

 そもそも、新会社の目玉であるエージェント制が生かし切れそうにないので、その道のプロである福田氏の社長就任に意味が乏しくなっている。新会社について東山氏は10月2日の記者会見でこう胸を張っていた。

「(エージェント制は)全てを会社に委ねたり、縛られたりすることなく、タレント自らがその活動の方向性に応じて、自分自身で活躍の場を求めていくことになります。日本の大手芸能プロダクションでこれだけ多くのアーティストと契約することになるエージェント会社が立ち上がるのは初めて」(東山氏)

 ところが、エージェント制でやると宣言したのは木村拓哉(51)のみ。エージェント制は本人の意向に沿って会社が仕事獲得を目指して動くので、向くのは俳優として主役級の人間だが、岡田准一(43)や二宮和也(40)らは去ってしまった。なんのためのエージェント制なのかが分からないような状態になっている。新会社とタレントの関係をどうするのか。その検討も旗揚げが遅れた理由ではないか。

 福田氏は敏腕で、のんのCMを次々と獲得した。一方でドラマの仕事は獲れていない。芸能界内には福田氏の理解者がいるが、強く反発する勢力もあることも影響している。福田氏がほかの事務所の手法を批判するからだ。個性の強い福田氏のキャラクターも、新会社発足の遅れに関係したのかも知れない。

 ここから大逆転となるか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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