旧ジャニ新会社が間もなく発足 新社長・福田淳氏が民放各局を挨拶回り…なぜこれほど時間がかかったのか

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最初から無理だった早い時期の新会社発足

 一方、福田氏は現在、のん(30)ら芸能人のエージェント(代理人)でもあるコンサルティング会社「スピーディ」の社長でもある。福田氏が自分と付き合いのあるファンドや組織から資金を集められたら話は早かったが、金額が大きいので容易ではないだろう。

 また、この形の出資にはリスクが伴う。出資を受けた後、相手側と考え方に相違が生じると、経営の主導権を奪われてしまう可能性がある。旧ジャニーズは同族企業なので、この心配がなかった。

 スマイルアップ社取締役で元ジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー景子氏(57)は、自分が新会社に関わることはないと公約した。だが、福田氏が資金を集められないと、ジュリー氏が関係するファンドや組織から資金を出してもらわざるを得なかった。個人資産が1000億円あるとされるジュリー氏の口利きなら、出資元は簡単に見つかる。

 しかし、そうなるとジュリー氏が新会社に関与することになってしまう。世間からの批判は避けられそうにないから、これも難しかった。最終的な資本構成はどうなったのか。新会社の最大の注目点だ。

 資金面の問題を除いても、10月2日から1カ月以内の新会社発足は無理だった。まずファンクラブを通じて新会社の社名を公募したが、その締め切りは同月31日だった。すぐ社名を決め、法務局に会社の登記申請を出そうが、登記が完了するのは早くても1週間後。通常は2~3週間かかるからだ。

事業分割の協議に手間取っている?

 もっと大きな問題もあった。新会社はスマイルアップ社からタレント管理部門や著作権管理部門、ファンクラブ部門などを譲渡される形になるが、その手続きはかなり複雑なのだ。旧ジャニーズ事務所の組織をそのままにして、社名のみ変えるのとは違い、相当の手間と時間がかかる。

 業務譲渡の手続きは経営者の福田氏、東山氏だけでは出来ない。タレント、従業員、取引先の承諾を得る必要がある。また、事業は財産なので、譲渡の際には登録免許税や消費税などがかかる。その手続きもある。

 会社法に強い顧問弁護士が付いていながら、1カ月以内に新会社を立ち上げると公約した理由は謎だ。世間からの批判をかわそうと、さまざまなことを泥縄式で決めたからではないか。

「ファンクラブを含め、両社の事業をどう分割するかの協議に手間取ったのではないか」と見る芸能関係者もいる。スマイルアップ社は性加害被害者の補償に専念するとしていたものの、それでは最低限の組織の維持費すら出ないし、新会社側が全事業を引き継ぐと、運営に無理が生じる可能性もあるからだ。

 スマイルアップ社に残した可能性があるのは、たとえばファンクラブ。重複会員も含め会員数は約1300万人で、会費収入はおおむね年間約520億円ある。それでいて業務に携わるスタッフは10人以下に過ぎず、多くのことは印刷会社の子会社に任せているから、超優良部門だ。どちらの会社も欲しいのではないか。

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