旧ジャニ新会社が間もなく発足 新社長・福田淳氏が民放各局を挨拶回り…なぜこれほど時間がかかったのか

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 旧ジャニーズ事務所が設立するエージェント新会社が、間もなく発足することが分かった。社長に就任する福田淳氏(58)が現在、民放各局に出向き、創業の挨拶を行っている。社名や資本構成も近く明らかになる。それにしても遅かった。SMILE-UP.(スマイルアップ)社長で新会社の社長にも就任するはずだった東山紀之氏(57)が、10月2日の記者会見で「約1カ月以内に設立する」と公言したが、既に2カ月が経過している。どうして遅れたのか?

出資金集めの難航が理由か

 ようやくエージェント新会社(以下、新会社)の中身が固まり、福田社長の民放への挨拶回りが始まった。設立が遅れた理由の1つとして、芸能事務所関係者たちが挙げるのは出資金集めの難航だ。

 性加害問題の補償に専念するスマイルアップ社には1000億円を軽く超える資産があるものの、新会社とは完全に分離するから、出資は出来ない。

 出資金集めを難しくしたのは、旧ジャニーズ事務所による9月13日の公約だ。

「今後1年間、CMや番組などに所属タレントが出演した際の出演料を全て本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬を受け取らない」(旧ジャニーズ事務所)

 企業の旧ジャニーズ事務所離れを受け、仕事が減ったタレントたちの生活を守るための決定だったが、その約半月後の10月2日にはスマイルアップ社と新会社の分離が発表された。この時点で大きな問題が生じた。新会社は来年9月まで、ほぼ無収入になってしまったのだ。

 芸能界の事務所側の取り分は概ねギャラの7、8割。これが全く入らない。資産がふんだんにあるスマイルアップ社とは違い、新会社は苦しい立場に置かれることになった。

 新会社は設立時点までに資本金(運転資金)に加え、来年9月までの会社運営費を集めなくてはならなくなった。資金集めのハードルがかなり上がってしまった。

 旧ジャニーズ事務所には約100人のタレント、200人以上の社員がいた。社員の大半が新会社に移行すると、その給料を含めた毎月の運営費は億単位でかかる。資本金と合わせると、新会社は設立時点で最低でも10億円以上は必要になる。

想定される出資元にはいずれも障壁が

 それを福田氏は外部から集めなくてはならなかったわけだが、巨額なので難航しただろう。

 資本構成は近く判明するが、想定される出資元のパターンは3つ。(1)ソニー・ミュージックエンタテインメントと関係するファンドや組織、(2)福田氏個人と付き合いのあるファンドや組織、(3)ジュリー氏と関係するファンドや組織。だが、いずれにも障壁があった。

 ソニー・ミュージックの関係先による出資が想定されたのは、福田氏が元ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの社長だから。また、福田氏を社長に推したのは、旧ジャニーズ事務所の顧問でソニー・ミュージックエンタテインメントのシニアアドバイザーである竹中幸平氏と見られているため。竹中氏はジュリー氏から頼りにされている。

 さらにソニー・ミュージックには「SixTONES」が所属している。10月16日に営業を終了した「ジャニーズショップ オンラインストア」の後継組織「Merch Company」から販売を委託されているのも、ソニー・ミュージックソリューションズだ。ソニー・ミュージックと旧ジャニーズ事務所の関係は深い。

 しかし、ソニー・ミュージックの関係先が出資すると、新会社がソニー・ミュージックの関連会社的な存在になってしまう。「A.B.C-Z」の所属レコード会社がポニーキャニオンであるように、タレントたちの所属先がソニー・ミュージックとは限らないから、他社の反発が予想された。ソニー・ミュージックの関係先による出資は難しかった。

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