「夢を追うのにもリスクがある。沼ってあるんです」社長からの暴行、子宮頸がん…32歳グラドルが年内で引退を決意した理由
台本の読み合わせのはずが……
舞台女優を目指そうと、役者が多く所属する事務所を知り合いに紹介してもらう。
「事務所に入る際には演技のテストもあるし、ここは本格的だなと思っていたら事務所の社長から『スタジオをとってあるから、そこで台本の読み合わせをしよう』と言われて。言われた場所はマンションだったんですけど『スタジオがついているんだ』と言い切られて」
マンションの部屋に入ると、そこにスタジオはなくただの部屋だった。
「部屋に入ると、社長から『全身チェックするから脱いで』と言われたので『演技のテストだって言いましたよね』と怒ったんです。すると『うるさい』と殴られて、そのまま暴行されて……。社長は70歳くらいだったんですけど、男の人なので力は強くて。訴えようと思いました。でも相談した人に『部屋に入ったのはあなたですよね。しかも未成年でもない。その際の写真とか録音はありますか? 証拠がないと難しい』と言われ、泣く泣く諦めました」
子宮頸がんの発覚
林さんは現在、知り合いの事務所に預かりという形で所属している。徐々に舞台で主演を張るようになり、舞台俳優として生きていこうと考えていた。しかし10代の頃から続く精神的な不調がそこに大きくのし掛かった。
「メンタルの部分で、芸能活動を続けていくのがしんどくなってきました。16歳の頃にかかった精神科で『30歳までには落ち着く』と言われたけれど、30歳になってもひどくなる一方。一つの舞台で精神的発作で3~4回は倒れるんです。過呼吸とパニックになって、自分の頭を強く打ち付けたり、物を壊し始めたりもする。それが本当にしんどくって。年内で芸能界を引退しようと考え始めました」
同じ元グラビアアイドルの浜田翔子が妊活を頑張っていると聞き、引退後は婚活、妊活をしようと考えた。しかし、試練は続く。ことし8月、卵巣の定期検診にいくと医者から卵巣腫瘍の再発の疑いがあると告げられた。
「20代は本当にいろいろ大変なことがあって、だから30代はもう大丈夫でしょと思っていたんです。それが、まさか再発するとは思っていなかったので、落ち込みました」
それでもまた腫瘍だけを取ればいいと思っていた。親にも再発を知らせ「でも落ち込まなくていいよ」と伝えると、悲しそうな声が返ってきた。
「親から『実は前の卵巣腫瘍の際に、先生から次に再発したら子宮摘出になりますと告げられていた』と明かされて。親的には再発する前に結婚もして、子どもも生まれるだろうと考えて、言わなかったみたいなんですけど」
妊活を考えた矢先、手術をすることで子どもが産めなくなることを知った。そして10月、医師から子宮頸がんの陽性反応が出たと告げられた。
「自分自身、12歳から児童劇団で初めてステージに立って、そこからずっと夢に向かって走ってきた。今は32歳。節目じゃないですけど、ちょっと走りすぎてきて疲れた部分もあって。1回、頑張るのをやめてみるのも人生の選択じゃないかなと思ったんです。夢、夢、夢できたけれど、さすがにがんというワードは響きましたね」
子どもの頃からの芸能の仕事につくことだけを夢見て走ってきた。でも引退すると決めたとき、気持ちがふっと楽になった。つらいことが多すぎた夢への道に、やっと終止符がうてると思った。
「夢を追い続ける。言葉にするとかっこいいじゃないですか。でもそれだけではなくリスクがあるんだなって。がむしゃらにやってきたけど、いつかプツンと切れる瞬間がある。私、すごく嫌いな言葉があって。『人生落ちたら、上がるだけ』『神様は乗り越えられる人にしか試練を与えない』というやつ。それを聞くと、綺麗事を言うなって思うんです。底だと思っても、まだその下に落ちていく。沼ってあるんだよって」
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