紅白に「K-POP」6組出場で「ネトウヨ」のデモはあるか? ネット編集者が「多分ない」と考える理由は“2011年”と2023年の違い
日韓の野球でも……
これら指導者の方針に従い、韓国の裁判所を含めた役所、大使館前の従軍慰安婦抗議デモ、日本製品不買運動も連動して「反日」が活性化。そのため、ネトウヨには韓国に対して怒りを常に駆り立てる「養分」があった。しかし、2019年、日韓関係が戦後最悪とも言われる状況になった中、経産省は半導体製造に必要なフッ化水素等の輸出において韓国を「ホワイト国」から除外することを決定。
韓国が兵器製造に転用する第三国に横流ししているとの疑惑からの措置だったが、韓国の役人が経産省の倉庫のような殺風景な部屋に通され、経産官僚二人と対峙する姿は韓国嫌いな人々の溜飲を下げた。経産省は通達を取り下げず、韓国は自前で高純度のフッ化水素を作ろうとするもなかなか完成はせず、この時、日本は明らかに外交戦で勝利した。韓国には焦りが見られた。
となると、韓国嫌いな人々も怒りは減っていき、韓国がホワイト国に戻すよう懇願する(ように見える)様を見て面白がるしかなくなったのだ。かくして2019年秋以降、苛烈な韓国叩きというものはネットではあまり見られなくなったが、いつしか新型コロナ騒動が始まり韓国どころではなくなり、尹大統領の誕生に至る。さらにはその間、レベルの差が広がった日韓の野球でも愛国者達は溜飲が下がる結果となる。日本は2023年のWBCで優勝するが、韓国はまったく日本に歯が立たなかった。2009年にあそこまで強かった韓国の姿は見る影もなかった。
時に暴走する気持ち
だから今は「嫌韓」的空気感にはない。一時期次々と出版されたそれらの書籍も発刊点数も激減したし、そもそも売れないのだろう。尹大統領の外交姿勢は大いに影響を与えたと思うが、文在寅氏があまりにも反日過ぎたからその落差もあるはずだ。嫌韓感情が高まっている時は、韓国大統領に揶揄の意味を込めたあだ名をつけるのが定番だった。廬武鉉氏は「ノムタン」、李明博氏は「あきひろ」、朴槿恵氏は「クネクネ」、文在寅氏は「ムンムン」。だが、尹氏には「ユンユン」や「ソンソン」「ニュルニュル」といったあだ名はついていない。
こうしたことからもう、「怒り」「嫌悪」の状況ではない空気感の中、紅白歌合戦に対する反対デモは発生しないのではないか。発生したとしても、2011年よりはかなり小規模なものになるだろう。せっかく日本と仲良くしようとする大統領が就任したのだ。一般市民が反韓感情を爆発させるのは得策ではない。
さて、ネトウヨによる韓国へのヘイトの気持ちは時に暴走する。思い込みを基に頓珍漢なことを書き、「何でも韓国が悪い」ことに転換する技を有していたのである。たとえばフジテレビのドラマで「韓信匍匐」という紙が部屋の壁に貼ってあった。これを見て「韓国を信じる、という意味だ! こんな小道具でも我々日本人を韓国に支配させようとしている!」と大騒ぎ。だが、これは漢帝国誕生の大貢献者・韓信が「股くぐり」をしたことである。
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