「歌劇団員の死後、旅行の話を楽しそうにしていた」 宝塚・親会社のトップが音楽学校で衝撃の「面接」「祝辞」

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「親御さんの職業、年収は?」

 現役団員・Aさんの死から2カ月余り。宝塚大劇場では1日から雪組の公演が始まり、新理事長は観客に謝罪したものの、遺族と歌劇団の主張は平行線をたどったまま。悲劇を生んだ過重労働やパワハラに拍車を掛けたのは、ひたすら利益を優先する親会社トップだった。

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 目下、Aさんへのいじめやパワハラを「確認できなかった」とする劇団側と遺族側との主張には大きな隔たりがある。加えて、親会社トップである阪急阪神ホールディングス(HD)の角(すみ)和夫会長も本誌(「週刊新潮」)の取材に、

〈向こうの弁護士が言ったのが、すべて正しいとは思っていません〉

 などと言い放っていたのだが、

「今回の悲劇は、角さんが進めてきた利益優先の経営が引き起こしたといっても過言ではありません」

 そう指摘するのは、さる劇団関係者である。

「2005年に阪急HD(当時)の社長に就任した角さんはこれまで、110年の歴史を誇る歌劇団を“金稼ぎの手段”とみなすような言動が目立ちました。角さんは、先日まで理事長に就いていた宝塚音楽学校の入学試験で面接官も務めており、受験する生徒たちに『親御さんの職業は?』『年収は?』などと、容赦なく質問を投げかけていたのです」

卒業式の雰囲気が台無しに

 劇団員に“チケットノルマ”が課せられていることはすでにお伝えした通り。さる現役団員の父親が、

〈チケットをさばける生徒は良い役につけてもらえます。(中略)大切なのは親の職業。地域の医師会の役員や上場企業の社長ならば関係者も多く、“ノルマ”もこなしやすい。トップに上り詰めるためには、実力だけではなく、カネとコネが重要だということです〉

 そう証言していたように、保護者の社会的地位や収入が大いに意味を持つ。従って面接における角会長の“コンプライアンス無視の問い”もうなずけよう。さらには、

「角さんは数年前、音楽学校の卒業式でも、『君たちの学費の3分の2は阪急が賄っています。歌劇団に入団した後は、それに見合う働きをしてください』などとスピーチし、式の雰囲気が台無しになってしまったことがありました」(前出の劇団関係者)

「旅行の話を楽しそうに」

 続けて、さる阪急関係者によれば、

「Aさんが亡くなって3週間余りたった10月24日、梅田で関西財界人の会合がありました。そこで角さんは、18年ぶりにリーグ制覇して日本シリーズに臨む阪神に言及し、『優勝おめでとう! かなり稼げそうです』と上機嫌でした。10月7日には歌劇団が会見を開いて外部弁護士の調査チームを立ち上げると表明しており、出席者は劇団の動向に関心があったのですが、角さんは宝塚については触れなかった。代わりに、会見直後に夫婦で訪れたヨーロッパ旅行の話を楽しそうにしていましたね」

 角会長は音楽学校の理事長を12月1日付で退任、後任は歌劇団の村上浩爾理事長が兼任することになった。組織風土改革を進めるためだというのだが、親会社の「総帥」として君臨し続ける以上、一朝一夕に“風土”が変わるはずもない。

 12月7日発売の「週刊新潮」では、「トップスターの人事権すら掌握している」ともいわれ、陰から宝塚に影響を与え続けている、角会長の夫人の素顔などと併せてレポートする。

 また宝塚歌劇団の凄絶な「ブラック職場環境」については、【関連記事】『「平日の睡眠時間は30分から1時間」「恐怖の“爆弾ノック”に下級生は震えあがり…」 OGが証言する宝塚内部の「凄絶ハラスメント」』で詳報している。

「週刊新潮」2023年12月14日号

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週刊新潮 2023年12月14日号掲載

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