大阪万博「大阪は賛成多数、東京は反対多数」の調査は本当か 在阪ジャーナリストに聞いた”関西人の本音”

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アクセスの悪さ

 吉富氏は「関西人でも万博反対派は決して珍しくありません」とAbemaTVの調査結果に反論する。実感としては、朝日新聞の世論調査で明らかになった「賛成45%、反対46%」のほうが、よほど関西の実情に近いという。

「朝日新聞の調査では、関西人の6割が万博開催に賛成していることが明らかになりました。とはいえ、『賛成か反対か』と二者択一で回答を迫られると『賛成』と回答した人でも、建設費が1250億円から2350億円に上昇したといった報道には接していますから、全面的に賛成しているわけではないでしょう。万博に対して微妙な違和感を抱いている関西人はかなりの数に達するはずです。今のところは賛成・反対の旗幟を鮮明にしていないため、人数が見えないだけなのです」

 そのため質問が変わると、「潜在的には万博に批判的な関西人」が浮かび上がる。

 共同通信のように「必要か不要か」という本質的な質問には「不要」が増える。読売新聞のように「行きたいか行きたくないか」と問えば、「行きたくない」が多い。

「関西人で万博に否定的な意見を持つ人の中には、会場が夢洲ということに不満を持つ層が少なくないはずです。理屈としては、広大な空き地が広がる『負の遺産』を、万博でフル活用するということになりますが、やはりアクセスが悪すぎます。万博会場には高速道路か地下鉄でしか行けない計画になっています。乗用車の乗り入れも厳しく規制される見通しで、気軽に見に行けるような雰囲気ではありません」(同・吉富氏)

最悪の可能性

 関東や北海道・東北だけでなく関西でも「万博の何が面白いんだろう?」という疑問を持つ人は存在するという。

「70年の万博で私は初めて外国人を間近で見ました。そんな状態だったからこそ、万博の全てが面白かったのです。翻って今、インターネットを使えば世界の裏側で起きたことすらリアルタイムで目撃できます。私たちの目は非常に肥えており、ちょっとやそっとの万博では感心しません。それこそユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や東京ディズニーランドのほうがよほど面白いでしょう」(同・吉富氏)

 今後、関西でも万博反対の声が増え、関東並みとなる可能性もゼロではない。とはいえ、万博が中止になることはないという。

「維新というか、大阪府と大阪市が万博中止を発表することは絶対にないはずです。何が何でも開催に漕ぎ着けると思います。それで万博が成功に終わればめでたしめでたしですが、来場者が少なく足りず赤字決算になったりすると、関西でも批判の声は噴出します。今、日本維新の会は関西圏で無敵の強さを誇っています。しかしながら、万博が失敗に終われば、有権者の評価は急変する可能性があります。万博の結果によっては、関西政界を激震が襲うかもしれません」(同・吉富氏)

註1:大阪万博、建設費2350億と当初の1.・9倍に開催反対の声も…「絶対にやめない」維新・馬場代表が断言(Abema TIMES:11月26日)

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