大阪万博「大阪は賛成多数、東京は反対多数」の調査は本当か 在阪ジャーナリストに聞いた”関西人の本音”

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 Abema TIMESは11月29日、「万博開催、大阪は賛成多数も東京は反対多数…地域で温度差『税金の使い方を考えて』『血税でやるなら明確にして欲しい』」の記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックスに掲載された。

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 記事はAbemaTVが11月26日に放送した「ABEMA的ニュースショー」(日曜・12時)の内容を踏まえている。そして、放送内容と記事との関係で1点、注意が必要なことがあるという。担当記者が言う。

「26日は日本維新の会の馬場伸幸代表(58)が番組に出演、他の出演者から大阪・関西万博に関して『反対の声が多くなった場合、やめることは検討するのか』と質問され、馬場代表は『絶対にやめない』と答えました。Abema TIMESは、まず馬場代表のこの発言を記事にして配信しました(註)。そして馬場代表に見せたVTRの内容を元に“温度差”の記事を配信したのです」

 番組が大阪と東京で街頭インタビューを行ったところ、大阪では「賛成。大阪が盛り上がるのなら」などの前向きな回答が目立ち、東京では「反対。この時代に何を見せるのか」といった慎重な意見が多かったという。

「朝日新聞が11月18日と19日に行った世論調査によると、万博開催に賛成45%、反対46%と、文字通り世論は真っ二つでした。ただし、近畿地方では賛成が60%と高く、関東は36%と目立って低い数値となりました。まさにAbema TIMESが報じた通りなのですが、他社の世論調査を見るとAbemaの番組内容と“矛盾”するデータも少なくありません」(同・記者)

見えない関西人の本音

 例えば、読売新聞が17日から19日にかけて行った世論調査では、「万博に行ってみたいと思うか」という設問に対し、「思う」は30%にとどまり、「思わない」は69%に達した。

「しかも、近畿地方でも『思う』は48%と伸び悩み、過半数を下回ったのです。ちなみに、『思う』が最も低かったのは北海道・東北地方で17%という結果でした。朝日新聞の調査では関西圏の人々は『万博の開催を支持している』という傾向でしたが、読売新聞の調査では『万博には行かない』が半分に達してしまいました」(同・記者)

 さらに首を傾げてしまうのは、共同通信が11月3日から5日にかけて行った世論調査の結果だ。万博開催の必要性について質問すると、関西を地盤とする日本維新の会の支持層でも「不要」が65・7%、「必要」が33・1%だった。

 果たして、関西人は万博に賛成なのか反対なのか、行きたいのか行きたくないのか、そもそも、必要だと思っているのか──疑問は膨らむばかりだ。そこで関西在住のジャーナリスト・吉富有治氏に取材を依頼した。

「率直に言って、AbemaTVさんは一体、何人に街頭インタビューを行ったのかと疑問に思います。調査結果の信頼性は、全国紙とは比較にならないでしょう。番組にゲスト出演した馬場代表は、VTRの内容に勇気づけられたのか、『大阪ではほとんど反対がない』と豪語しました。馬場さんの選挙区は堺市が中心です。この発言に『大阪選出の国会議員なのに、「ほとんど反対がない」は言い過ぎだ』と反論する関西人は少なくないはずです」

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