「全て嫌になった」と言い出した妻、そして突然消えた不倫相手…「結婚と恋愛は別」と言って結婚した42歳夫の苦悩

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この10年間をどう位置づけたらいいか

 彼は娘とふたりで暮らすことを決断した。幸い、自分が経営者となっている会社だから、時間的な融通はつく。コロナ禍で家で仕事をするコツも覚えた。

「娘が『私だってご飯くらい作れるよ』と言うんです。それもなんだか泣けてね。娘とはちゃんとコミュニケーションをとってきたつもりではいたけど、よく考えれば学校行事にも僕はそれほど熱心ではなかった。もっともっとコミットすべきだったと反省しました」

 以来、娘とのふたり暮らしが続いている。10歳の娘は意外と大人だということもわかった。

「義父によれば、祐貴子は夏頃からカウンセリングに通っているそうです。10年間の結婚生活で、彼女も自分の思い通りにならないことや僕への不信感みたいなものが積もり積もっていたのかもしれない。祐貴子がどういう人間なのか、僕にはわからないんですが、わからなくてもいいやと思っていたこと自体が間違っていたんでしょうね。いずれ戻ってきてくれればそれでいい」

 妻でも恋人でも、やはり他人は他人。 どこまでも知りたくて 追いつめてもいけないし、知らないままでいいわけでもない。心地いい距離の取り方は人によって違うから、そこを話したり察したりするべきだったのかもしれないと彼は言う。

「もし祐貴子とやり直せるとしても、うまくいくかどうかはわからない。おそらく祐貴子は生理的に僕を受けつけないでしょうし、そうなると僕はまた別の女性に目が行ってしまうかもしれない。我慢し続ける人生は嫌なんですが、人に我慢を押しつける人生も嫌で……」

 正直言えば、この10年間をどう位置づけたらいいかわからないのだと彼は途方に暮れたような表情になった。ただ、わかっているのは「娘が大事だ」ということだけだ。それがわかっただけでもよかったのかもしれないと彼は苦い笑いを浮かべた。

前編【複数の人妻と交際しつつ、妻とは手も握らずのデート5回で結婚…42歳男性の10年後に崩れた目論見】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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