成人の4割が肥満のアメリカでやせ薬の需要が急増中…経済に与える意外な影響をどう考えるべきか
実体経済に忍び寄る暗い影
11月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比520ドル高の3万5950ドルとなり、年初来高値を更新した。米国では「1990年代後半に始まったドットコムバブルの再来だ」との期待も高まっている(12月1日付日本経済新聞)。
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株価は相変わらず好調だが、実体経済には暗い影が忍び寄っている。
米連邦準備理事会(FRB)は11月29日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で「(10月以降の米経済活動は)鈍化した」と総括した。「労働需要が伸び悩むとともに金利上昇によって消費や設備投資が弱含んでいる」というのがその理由だ。
米サプライマネジメント協会(ISM)が12月1日に発表した11月の米製造業景況感指数は前月と変わらず46.7で、好不況の境となる50を13カ月連続で下回った。18カ月連続で「不況」だった2000年8月から2020年1月以来の長さだ。当時はドットコムバブル崩壊などが災いして指数は40台前半まで下落していた。
「ブラックフライデー」も客足は鈍く
米国の国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費にも陰りが見えてきている。10月の小売売上高(速報値。季節調整済み)は前月比0.1%減の7049億5400万ドル(約106兆円)となった。3月以来、7カ月ぶりの減少だ。
米国の10月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%増にとどまり、このところ鈍化傾向となっている。だが、消費者のインフレに対する警戒感は弱まっていない。
米ミシガン大学が11月10日に発表した11月の消費者調査によれば、5年後の物価見通しを示す予想インフレ率は前月比0.2ポイント増加して3.2%となった。2011年以来、約12年ぶりの高さだ。1年後の予想インフレ率も4.4%と高い。
11月24日、米年末商戦の最大の山場である「ブラックフライデー」のセールが一斉に始まったが、インフレ懸念がもたらす節約意識から、客足の鈍さが目立っている。
感謝祭の翌日の金曜日(24日)は、米国人が1年で最も多く買い物をする日と言われているが、現場からは「消費者は家電などの高価格帯の製品の購入をできる限り先延ばしにしている」との嘆き節が聞こえてくる(11月25日付日本経済新聞)。
好調とされているオンライン販売も返品の急増に頭を悩ませている。今年の年末商戦の返品は前年比28%増の1730億ドル(25兆5300億円)相当に拡大する見通しだ(11月30日付ロイター)。
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