「もの忘れはむしろ健全」「スマホに頼っても大丈夫」 脳寿命を延ばす「忘却システム」とは

ドクター新潮 ライフ

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どうバランスよく脳を使う?

 それでは、脳のシステムをバランスよく使うにはどうしたらよいのでしょうか。文字通り、意識を集中したら分散させる。つまり、「疲れたら休む」「飽きたら違う行動をする」ことが重要になってきます。「同じこと」を続けている状態では、集中系と分散系のどちらかしか使っていないので、脳の一部に負担が掛かって疲弊し、脳の健康は損なわれてしまいます。例えば、「うつ」を考えてみましょう。何もやる気が起きず、活動していない時には脳は休んでいるとイメージされやすいのですが、これはまさに分散系を過剰酷使している状態といえます。

 集中系を活性化させる行動としては、読書をする、趣味に熱中する、文章を書くといったものが挙げられます。一方、分散系は景色を眺める、散歩する、シャワーを浴びる、単純作業に没頭するというようなことで活性化します。

「ニュース」と「ドラマ」の違い

 テレビを観る、スマホをいじるといった行動は、一見、分散系と思われるかもしれませんが、実はテレビやスマホを使って「何をしているか」によって、脳の働き様は異なってきます。

 同じテレビ鑑賞でも、何気なくバラエティー番組やニュースを観ている時は分散系が活性化しているのに対し、ドラマや映画を観てストーリーを追っている時は集中系が活性化しています。

 スマホを使うのでも、目的を持って調べ事をするためのインターネットの閲覧やゲームをしている時は集中系が活性化し、SNSの書き込みを流し読みしている時は分散系が活性化します。そのため、どちらかに偏(かたよ)らない限り、テレビを観るのも、スマホをいじるのも、一概に脳に悪いことであるとはいえません。やはり、重要なのは使い分けなのです。

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