【リニア】水問題解決へ“一歩前進”報道のウラ 「川勝知事の本性を取材している記者は分かっていない」

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川勝知事の嫌がらせ

 県の担当者によれば、

「JR東海さんで水の収支のシミュレーションを行っています。トンネルを掘れば これだけ水が圏外に流出し、大井川の水量がこれだけ減るという計算をしているわけですが、実際にはその収支のシミュレーションには不確実性を指摘する声もあり、専門部会の先生からはもう少し調査をして、精度を高めてからお話ししましょう、となっています」

 さらに一連の報道では注目されていないのが地質などを調べるために、工事の前段階に行われるボーリング調査について、だ。JR東海は16日の会見で、このボーリング調査も田代ダム案を適用し、調査にともない流出する地下水について対応するとした。これに川勝知事が猛反発しているのだ。

 先の関係者が続ける。

「川勝知事は会見で“この件は報道で知った”とし、“高速長尺先進ボーリングにより上流域の生態系への影響がある。それらの影響を回避する保全措置が示されないと認められない”と語りました。ボーリングができなければ、工事は進められない。これは知事の嫌がらせと言っても過言ではないでしょう。また、工事による掘削土をどこに置くかという残土問題は解決には至っていません。土を置く計画地がそのことで崩壊する可能性を知事が指摘しているからです」

“自分の主張は絶対”

 まだまだ解決には程遠いというわけだ。

「静岡工区のリニア問題が顕在化してから、もう6年近くが経ち、記者クラブのメンバーも大きく入れ替わりました。そのため、川勝知事のことをよく知っている記者も減ってしまった。有り体に言えば、川勝知事は“頑固”で“自分の主張は絶対”です。最初に選挙に出た時は演説に時間制限があっても、自分の主張を話し終わらないうちは、どんなに時間がかかっても演説を終えなかったことで知られています。そんな彼が簡単にリニアの工事を了承するわけがない。そのあたりのことをわかっている記者が減ってしまったのは事実です」

 前進どころか、これから後退するかもしれない状況なのである。

デイリー新潮編集部

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