「ヤクザ寮の使用不可」で精神的苦痛を受けたと3代目弘道会・野内組が岐阜県を訴えた

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現在は野内組長の会社が所有

 そもそも、若い衆は勤務先を明かせないどころか収入を証明できるものがなく、加えて収入もあってないようなものの方が多く家が借りられないので、事務所が仕立てた寮に入るのはヤクザにとっては定番なのだという。

 北村若頭側は意見聴取の際に、衣食住の機能を持つこの建物に関する資料を提出している。1976年築の鉄筋コンクリート2階建ての建物で、1階は約116平米、2階は約68平米。写真を見る限り、特別な仕様があるようには見えず、外観も内観も“普通の一軒家”風にはみえる。元々は川合組初代の所有だったものを死去後に夫人が相続し、その後に野内正博組長が代表取締役を務める会社が購入している。

 公道を挟んでいるとはいえ事務所とこの建物はほぼ隣接しているだけに、組側としては生活空間が事務所の使用制限の巻き添えを食うことを想定し、使い分けを徹底してきたようだ。しかしそれでも今回は一体と見なされたということになる。

近隣住民との良好な関係を

「危惧していたことが起こったということになるのかもしれませんね。ただ、立地的に離れていたとしても使用制限が課せられていた可能性はあるとみています」(先の竹垣氏)

 その背景として、そもそも野内組は捜査当局のターゲットとなりがちだという点があるという。野内組長が3代目弘道会の若頭を務めていることなどから、いずれ山口組が7代目に代替わりすれば野内組は山口組の直参となるのは既定路線。当局としてはあらかじめ弱体化を図り叩いておきたい組織の筆頭格なのだろう。

 裁判では、野内組側は近隣住民との良好な関係をアピールし、県側は反社の巣窟になっていることを主張していくとみられる。

 一般市民であれば今まで住んでいたところが急に使用不可になった際に「精神的苦痛を受けた」と訴えて同情を買うことも容易かもしれないが、このケースはどうか……。

 いずれにせよ、この争いは最高裁まで続くことになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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