「ヤクザ寮の使用不可」で精神的苦痛を受けたと3代目弘道会・野内組が岐阜県を訴えた

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意見聴取の結果

 岐阜県警が暴力団対策法に基づき、6代目山口組3代目弘道会傘下・野内組(本部:岐阜市)の関係先事務所などに、使用を制限する仮命令を出したことはすでにお伝えした通りだ。6代目山口組と神戸山口組の対立抗争を受けてのもので、当局に対して野内組の野内正博組長は徹底抗戦の構えを見せていたが、さらに踏み込んだ方向に舵を切ったようだ。

 ここまでの攻防をみてみよう。

 今回ターゲットとなったのは、野内組の北村和博若頭が率いる2代目川合組の事務所、そこから公道を挟んで北側の建物(寮と食堂)に対してで、使用制限の対象となった。事務所以外にヤクザ寮とヤクザ食堂の使用もままならぬとなると、まさに衣食住に直結するだけに、当事者が反発するのも理解できるところではある。

 仮命令が出たのは11月9日で、その効力は15日間。その間は組員が集まることも禁止される。県公安委員会が意見聴取し、3カ月間の使用制限となる本命令を出すか否かを判断することになる……ということだったが、実際どうなったのか。経緯を追ってみていこう。

野内組側がこだわったのは

「11月15日に意見聴取がありましたが、北村若頭は立ち合いを許されなかったとのことです」

 と、竹垣悟氏(「五仁會」代表で、元山口組系「義竜会」会長)。ただし、組側からは代理人弁護士が出席を許されたという。

「弁護士は公安委員会に対し、北村若頭が発言しないという条件で立ち合いを求めたようですが、却下されたようです」(同)

 これを受け、翌16日に弁護士は公安委員会に対し抗議文を送付したところ、「代理人の選任とは、その人物に物事を一任するということなのだから、当事者の出席は認めない」との返答があったとされる。北村若頭も食い下がって、「補佐人の申請」という手段に出ようとしたが、申請は4日前までという壁に阻まれたようだ。

 しかし北村若頭側はよほど不本意だったのか、17日になって、「精神的苦痛を受けた」として岐阜県を相手取って損害賠償請求を起こしたのだという。

 野内組側がこだわったのは事務所ではなく、若い衆が暮らす寮と食堂の扱いについてだった。

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