3時のヒロインはなぜ「鼻につく」? 福田麻貴はドラマ主演に抜てき…最近の芸人がお笑いにこだわらない理由とは
男社会のお笑い界でいまだ振り回される女性芸人 「出演枠」より「ルックス」「資格」の理由は?
令和に入って少し変わったとはいえ、まだまだお笑いは男の世界だ。女性芸人は、“男の世界にのこのこやってきて平気な顔をしている勘違い女”であり、バカやブスという仕草や意識を前提に求められる時代は長かった。そして結婚やダイエットや女優デビューといったトピックは、ことさらに女性芸人の女性性を押し出し、芸人からの離脱を図るきっかけのように報じられる。仕事も私生活も頑張りたい女性芸人にとっては、窮屈に思うだろう。進みたい方向性の違いから、空中分解するコンビも少なくなかった。ならばザ・芸人のてっぺんを狙うより、かわいくお茶目なインフルエンサーとして生きる方が楽しそう。目指すは上沼恵美子さんより渡辺直美さん、と考えるのも無理はないように思ってしまう。
見た目もトークもお芝居も、どれもほどほどに良い第7世代。しかし過渡期のお笑い界においてさえ、そつなく立ち回ってしまう器用さゆえに、彼らはどこにいても「成功した」という手応えや満足感が薄いのかもしれない。お笑い以外のさまざまな分野に手を伸ばすのは、ミーハーだからというより、最も安心と安定を得られる場所を必死で探している面もあるのではないだろうか。
ゆめっちさんは休養中、ペットケアアドバイザーとペットセラピストの資格を取得したというが、かなでさんも先日のトークイベントで、福田さんのドラマ主演期間中に運転免許を取りたいとコメントしていた。いつ消えるかわからない「芸人としての出演枠」より、この先も潰しのきく「ルックス」「資格」に目が向く若い世代らしい答えである。
おそらく福田さん自身が最も、メンバー間の意識の差を感じていることだろう。今回のドラマ主演の決断の裏には、若い二人の考え方を理解したいという、Z世代の取り扱いに悩む中間管理職的な葛藤も潜んでいるように思えた。いつまでもコンビで仲良く、お笑い一本で頂点に。それはもう芸人の夢ではなく、視聴者が押し付けた夢なのかもしれない。でも10年後、昼間の通販番組で「やす~い! アッハ~ン!」と三人で仲良く声を上げているのを見たら、それはとてもほほ笑ましいなとも思ってしまうのだけれど。
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