3時のヒロインはなぜ「鼻につく」? 福田麻貴はドラマ主演に抜てき…最近の芸人がお笑いにこだわらない理由とは
器用すぎる第7世代への反発 反作用的に台頭した第6世代とロールモデルが不在の女性芸人たち
なにせ第7世代は何事にも器用すぎるのだ。例えば「第7世代」の名付け親である霜降り明星・粗品さんは、今や音楽家としての評価も高い。自身でレーベルを立ち上げただけでなく、NHKのアニメ「青のオーケストラ」のエンディングテーマの作詞作曲まで担当している。
さらにEXITは片や美容男子、片や小説家に。四千頭身の都築さんは、ファッション好きが高じてアパレルブランドを立ち上げた。「THE W」の初代チャンピオン・ゆりやんレトリィバァさんは福田さんの大学時代のサークルの後輩にあたるが、ワークアウトに女優にラッパーにと八面六臂(ろっぴ)の大活躍だ。
お笑い以外の分野でもきっちり成果を上げる、第7世代の器用さ。バラエティーで体は張らないし、自虐もしばきもお断り。その要領の良さというのは、欲の無さにも映るのだろう。平場のトークで「やる気がない」「持ち上げられている割につまらない」と批判が増えてくる中で、台頭してきたのがチョコレートプラネットや千鳥、かまいたちといった第6世代だった。
第6世代の彼らにはまだ、お笑いで成り上がってやる!という野心が見える。下積みの苦労話や、他の芸人へのバチバチの対抗心が見える。その泥臭さや人間臭さにお茶の間は安心を覚える一方で、「別にお笑いじゃなくても食っていけるし」「テレビ? YouTubeで稼いでますんで」と言わんばかりの涼しげな顔の第7世代たちに反発を抱くのではないだろうか。
しかし第6世代らの「冠番組を持つ」姿が、若い世代にとっての「成功」に映っているかは微妙である。むしろ地位を維持するうえでのプレッシャーの強さを間近に見て、へきえきしているのではないだろうか。特に第7世代の女性芸人にとって、ロールモデルとなるような先輩はいないに等しい。
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