「次の子が産みたくなる」 奇跡の保育園「やまなみこども園」の秘密 「散歩で摘んだ野草を給食に」「着替えは毎日3着分」

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「保育に大切なのは…」

 この園の特殊な人間関係と価値観は、40年以上もの長きにわたってつづけられてきた。

 筆者には道枝のこんな言葉が印象に残っている。

「子供は体も心も成長したがっているし、大人は子供の成長を目の当たりにすると感動するものなのです。保育に大切なのは、みんながそのことを理解して進んでいくことであって、1から10まで大人が決めるとか、何もしないで放っておくといったことではないと思うのです。子供が幸福感を持って遊び、育っている事例を、みんなで共有し合うことが本当の意味の少子化対策だと思っています」

 最近は、「地域ぐるみの子育て」とか「子供が主役」という言葉をよく耳にする。では、本当の意味での地域ぐるみや子供が主役とは何なのか。

 やまなみこども園は、そんな問いに対する一つの答えであるような気がする。

(敬称略)

 前編では、保護者が「第二の青春」を味わうことのできる「やまなみこども園」の魅力をレポートしている。

石井光太(いしいこうた)
作家。1977年東京都生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。2005年『物乞う仏陀』でデビュー。『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』など著書多数。21年に『こどもホスピスの奇跡』で第20回新潮ドキュメント賞を受賞した。

週刊新潮 2023年11月30日号掲載

特集「『次の子が産みたくなる』保育とは 大反響 奇跡の保育園『やまなみこども園』の秘密」より

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