「次の子が産みたくなる」 奇跡の保育園「やまなみこども園」の秘密 「散歩で摘んだ野草を給食に」「着替えは毎日3着分」

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「行事が子どもを育てていく」

 さらに、園として大切にしているのが、先生方が子供たちと同じ目線で体操や料理を楽しむだけでなく、一段高いレベルの体験を数多くさせることだ。それが園で“ハレの日”と称される行事だ。

 代表的なものがキャンプ、おいでいっしょにあそぼう会、演劇、登山、発表会などの年間行事では、職員だけでなく、保護者にも参加してもらいながら、壮大で感動的なものを作り上げていく。また、毎月行われる誕生日会では職員が毎回手のこんだ劇やダンスを準備して子供たちに披露する。

 前出の道枝は言う。

「うちでは行事が子供を育てていくと考えています。散歩やリズム表現や給食を通して得られることも素晴らしいですが、そこからさらに成長するには行事の中で子供が自分だけではできないことを職員や保護者の力を借りながら実現していくことが必要なのです。高い目標を乗り越えて初めて子供は本物の感動や自由を得られる。園がしなければならないのは、そういう舞台を用意することだと思っています」

時には挫折も経験

 運動会の入場を例にとろう。入場式があれば、子供はかっこ良く登場したいと思うだろう。しかし、子供にそのアイデアを考案させるだけでは限度がある。そこで職員や保護者と話し合って、本当に素敵だと思うものを考え出す。

 ある年の運動会では、みんなで雲に似せた木製の輿(こし)を作り、それを父親たちが担ぐことにした。輿の上には衣装を身に着けた子供たちが仁王立ちし、好きな曲をバックに数基に分かれて登場する。そして職員がマイクを手にプロの実況さながらに子供たちを紹介することで会場を盛り上げるのだ。

 こうしたアイデアを実現するには、それだけ十分な準備が必要になる。その過程で子供たちはたくさんの汗をかき、話し合い、笑い、時には挫折を経験する。そうやって高い目標を達成するからこそ、感動もひとしおで、次はより高いものを目指すのだ。

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