「次の子が産みたくなる」 奇跡の保育園「やまなみこども園」の秘密 「散歩で摘んだ野草を給食に」「着替えは毎日3着分」

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 通わせると次の子が産みたくなる――奇跡の保育園として注目されているのが、熊本県にある「やまなみこども園」だ。前編では、子どもと保護者が一体となって、園が「大きな家族」として機能していることを紹介した。後編では子どもの主体性を育む保育の内容に迫る。

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 保育園の倒産や合併が相次ぐ中で、熊本県にある「やまなみこども園」は、全国の保育園や大学からの視察が絶えず、その豊かな保育方法や環境から、一部の人たちには「奇跡」とさえ言われている。

 前回は、保護者たちが園を中心に“大家族”のような関係を築き、子だくさんになっていく姿を見てきた。後編では、その子供たちの姿を追ってみたい。

全力でリズム表現を楽しむ先生たち

 この日は、梅雨の最中だったこともあって冷たい雨が降っていた。

 やまなみこども園では、外での行事が中止になったことから、「くじらほーる」と呼ばれる建物に4学年の子供たちが集まり、「リズム表現」のプログラムが行われた。

 創設者・山並道枝(76)=前園長=の明るくテンポのいいピアノに合わせて、子供たちがスキップをしたり、アヒル歩きをしたり、ブリッジをしたりするリズム体操だ。これは「自然界の律動」「集団遊び」「リトミック」を組み合わせたもので、五感を刺激して目覚めさせ、表現力を高めることを目的としている。

 室内を子供たちが猛スピードで駆け回り、笑顔のまま驚くような身体表現を次々にする光景は壮観だが、それ以上に印象的だったのが自らも全力でリズム表現を楽しむ先生たちの姿だった。

 子供たちはそんな先生たちに触発されて、もっと高くジャンプしようと飛び跳ねたり、格好つけて自己流の表現を組み込んだりする。先生の方も、これを見よ、とばかりに激しく体を動かす。他の園で見られるような、先生が冷静な監督役に徹しているのとは真逆だ。

子供以上に好奇心むき出しに

 リズム表現が終わった後、道枝に話を聞いた。彼女は次のように話す。

「職員や親が率先して夢中になってやるから、子供も触発されて、自分もやりたい、もっともっとやりたい、と120%の力で取り組むんです。そうして初めて、子供たちは大人の想像をはるかに上回ることを成し遂げ、成長していく。小学校の授業のように上から誰かが決めたことを教えるのではなく、同じような目線で子供たちの心の奥底にある主体性を刺激するきっかけを与えることが大切です」

 晴れた日には午前中に、1~2時間ほどかけて園の名物の一つ「散歩」が行われる。そこでもまた職員が率先して楽しむ姿が見受けられる。

 ある日の散歩では、園から500メートルほど離れたところにある水前寺江津湖公園へ行った。同行した筆者が驚いたのが、各年次に2人ずついる担任の先生が目に見えるものや耳に聞こえるものに対して、子供以上に好奇心をむき出しにしていることだ。

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