「メーガン妃のチアリーダー」による“暴露本” 長男をめぐる「王室の人種差別的発言」騒動の再燃&延焼で完全消失した“落としどころ”

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「無意識の偏見」か「人種差別」か?

「彼が生まれるとき肌の色はどれだけ黒くなるのかと……」

 2021年3月、米テレビ番組に出演したヘンリー王子とメーガン妃は、王室時代の“不当な扱い”を盛大に暴露した。

 中でも注目されたのは、夫妻の間に生まれてくる子の肌の色について言及し、さらに懸念を示したという「英王室内の人種差別的発言」だ。メーガン妃は涙ながらにこれを訴えたが、発言者の名前だけは明かしていない。

 発言者に関する憶測がいくら飛び交っても特定は不可能だった。発言を聞いたのはヘンリー王子であり、完全に王室内部の出来事だからだ。唯一のヒントは、番組で聞き手役だった米司会者の「エリザベス女王とフィリップ殿下ではない」という発言だけ。同年11月には米国人作家の著書でチャールズ国王(当時は皇太子)の名前が挙がったが、王室関係者は「フィクションでありコメントする価値はない」と取り合わなかった。

 ヘンリー王子夫妻は現在までこの件に触れていない。今年1月、回顧録『Spare』出版時のインタビューでこの件を持ち出されたヘンリー王子は、「『無意識の偏見』と『人種差別』は異なる」など、歯切れの悪い返答をした。その理由は、今年4月に英紙「テレグラフ」が報じたチャールズ国王とメーガン妃の手紙からうかがえる。

オランダ語版だけなぜか実名を記載

 同紙によると、チャールズ国王(当時は皇太子)がメーガン妃に手紙を送ったのは暴露インタビューの放送後。家族の中で高まる緊張を憂慮するその内容に対し、メーガン妃は発言者の名前と「無意識の偏見」を綴って返信した。結果、悪意による発言ではないことで決着し、メーガン妃は「人種差別」での非難ではなく「無意識の偏見」についての話し合いを希望したという。

 この流れからすると、ヘンリー王子夫妻が一件を蒸し返す理由はない。だが、「メーガン妃のチアリーダー」とも称されるジャーナリストのオミッド・スコビー氏は、その後の夫妻が言及しないことに疑問を抱いたという。そして“独自で”取材を行い、11月28日に発売した自身の著作、新たな“暴露本”として物議を醸している『Endgame』でこの一件を再び俎上に上げた。

 ただし、明らかになったのは発言者が「2人」いることだけで、実名は「英国の法律では彼らが誰であるかを報道することを禁じられている」ため記載されなかった。この法律とは、英国で近年強化された個人のプライバシーに関するもので、今年7月にはBBCキャスターのスキャンダル疑惑を報じる際に各社が実名を伏せた例などもある。

 元原稿となる英語版がこの記述なら、翻訳された各国語版も同様の記述になるはずだろう。しかし、オランダ語版だけは違った。なぜか実名入りバージョンが翻訳され、一部の記者が発売前に献本として受け取っていたのだ。

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