【秋ドラマ】個人視聴率ベスト5 「相棒」は相変わらず強いが弱点も…激戦区で気を吐くフジのドラマは?

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コアはほぼ独走状態の「下剋上球児」

 2位はTBS「日曜劇場 下剋上球児」(日曜午後9時)で個人5.8%(世帯8.6%)。コアは3.5%でトップだった。個人全体視聴率はずっと「相棒season22」とトップ争いを演じている。コアはほぼ独走状態だ。

 三重県立越山高校の社会科教員で野球部監督だった主人公・南雲脩司(鈴木亮平・40)がニセ教員だったことから、嫌悪感を抱いた視聴者もいるのかも知れない。しかし、テーマが「許し」と「再生」なので、無免許問題は物語から外せない。

 南雲自身は許す人間である。第3回で野球部主将だった日沖誠(菅生新樹・24)たちが乱闘騒ぎを起こすと、怒らず、ひたすら相手側に頭を下げ続けた。

 南雲は部員が練習をサボろうが、エラーをしようが、決して怒らない。許す人間が許されるかどうかを描いてゆく物語とも言える。今後は小学生の自分を捨てた親を南雲が許すのかどうかが盛り込まれると読む。かなり周到に考えられた脚本である。

 3位はテレ朝「家政夫のミタゾノ(第6シリーズ)」(火曜午後9時)で個人4.0%(世帯6.9%)。ただし、コアはやや落ち、2.1%で7位。こちらも内容が予定調和だからだろう。

 TOKIOの松岡昌宏(46)が演じる主人公の女装家政夫・三田園薫が、仕事先の家庭の内幕をのぞき、見つけた問題点を荒療治で解決する物語。痛快なのだが、どうしても内容がパターン化する。

 その点を除くと、充実している。脚本は2013年版の「半沢直樹」(TBS)や「VIVANT」の八津弘幸氏らが書いているのでハズレ回がない。

1級の出演陣と優れた脚本の「コタツがない家」

 第4位は日本テレビ「コタツがない家」(水曜午後10時)の個人3.7%(世帯6.4%)。コアは2.7%で3位だった。

 観る側が目をむくような事件は起こらず、コップの中のささいな出来事が続く。それでも面白いのは、小池栄子(43)、吉岡秀隆(53)、小林薫(72)、高橋惠子(68)ら1級の出演陣が勢揃いし、向田邦子賞作家・金子茂樹氏の脚本が優れているから。同じ設定で並みの脚本家が書いたら、平凡な物語になってしまうはずだ。

 主人公はウェディングプランニング会社代表でしっかり者の深堀万里江(小池)。夫の悠作(吉岡秀隆)は漫画家であるものの、10年も仕事をせず、ゲームとビールの日々。正真正銘のろくでなしだが、それでいて憎めないのは脚本が良く、吉岡がうまいから。

 妻の清美(高橋惠子)と熟年離婚し、深堀家に転がり込んできた万里江の実父・山神達男(小林薫)もダメ男。投資詐欺に遭い、金がないはずだったが、本当は700万円を隠し持っていた。でも、やっぱり憎めない。

 個人も家族も多様化したため、1つの家族に大勢の視聴者の共感を集めなくてはならないホームドラマはもう難しいと思われていた。しかし、この作品はその固定概念を覆した。

 3世代にわたって楽しめるのも特色。シニア世代は達男や清美を自分と重ね合わせられるし、ミドル世代は万里江と悠作に自分を投影できる。若い世代に向けては万里江たちの1人息子で高校3年生の順基(HiHi Jetsの作間龍斗・21)が配されている。

 しかも、3世代とも付け合わせ的な存在ではなく、世代特有の悩みや思いを抱えている。ありそうで、なかった設定だ。だからコアも高いのだろう。

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