【秋ドラマ】個人視聴率ベスト5 「相棒」は相変わらず強いが弱点も…激戦区で気を吐くフジのドラマは?

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 秋ドラマが終盤に入った。プライム帯(午後7~同11時)の作品の中から、ビデオリサーチの視聴率のベスト5を見てみたい。同社の視聴率はテレビ界と広告界の標準指標。最新の統計理論に基づいており、圧倒的に信頼されている。ベスト5に入ったドラマの人気の理由も深掘りし、6位以降の順位も公開する。(以下、すべてビデオリサーチ調べ、関東地区、11月20日~26日)

「相棒」は脚本家の育成力と選別眼がドラマ界随一

 秋ドラマの視聴率ベスト5を挙げたい。順位の物差しには個人全体視聴率を使う。2020年4月以降、世帯視聴率はテレビ界、広告界では使われなくなり、個人全体視聴率が基準値になったからだ。

 個人全体視聴率のトップはテレビ朝日「相棒season22」(水曜午後9時)で6.5%。放送開始から23年が過ぎたが、息切れする気配もない。主人公・杉下右京を演じる水谷豊(71)が安定した名演を見せ、亀山薫役の寺脇康文(61)ら助演陣にも実力派を据えているからだろう。

 見逃せないのが脚本の力。「相棒」チームの脚本家の育成力と選別眼はドラマ界随一とされる。22日放送の「名探偵と眠り姫」を書いた光益義幸氏は2019年に第2回WOWOW新人シナリオ大賞を得た後、昨年の「相棒season21」から脚本陣に加えられ、新風を吹き込んでいる。少しずつ脚本陣が入れ替わっているから、長寿作品でもマンネリ化が防がれている。

 一方で13歳から49歳までの視聴率を切り取ったコア視聴率はやや落ち、2.6%で4位。参考までに世帯視聴率も記すと、11.1%でこちらはトップである。

「相棒」が若い視聴者にやや敬遠される理由

 世帯視聴率から個人視聴率に基準値が変わったのは、テレビ界や広告界の都合ではない。1962年に導入された世帯視聴率には経年疲労が起きていた。その番組を「何軒が観ていたか」しか分からない。総視聴者数は掴めなかった。また、シニア層が好む番組の数値が目に見えて高くなるという大きな弱点もあった。

 一方、個人視聴率は「何人が観ていたか」が一目瞭然。関東地区の場合、視聴者全体の数は約4050万人だから、1%は40万5000人になる。観ていた人の年代や性別も分かる。個人視聴率が導入されたから、その応用版であるコア視聴率も使えるようになった。

 数字からすると、「相棒season22」はどちらかというとシニア層に好まれていることになる。若い視聴者にやや敬遠される理由は水谷、寺脇とコア層の年齢が離れていて、身近に感じにくいからだろう。

 物語が予定調和であることも、コア層が好まない理由に違いない。最後は右京が事件を解決することが分かっている。コア層は「VIVANT」(TBS)のような予測不能な物語や考察要素のある作品を好みがちだ。

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