優勝・霧島は「自分に克てるようになった」 鶴竜親方が見た九州場所、続く「大関候補ナンバー1」は?

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現時点の「大関候補ナンバー1」は琴ノ若

――敢闘賞の3人目は、関脇・琴ノ若です。

 以前はフワフワした印象だった琴ノ若でしたが、落ち着いて相撲を取れるようになりました。父は師匠の佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)、祖父は先代・佐渡ヶ嶽親方(元横綱・琴櫻)というサラブレッドで25歳。そうした環境で育ちながら、普段から謙虚で、稽古もよくこなします。

 師匠も、「自分が叶わなかった大関になってほしい」と熱血指導しているようですが、本人も「大関」を意識しています。秋場所9勝、九州場所で11勝ですから、来場所は「大関取り」の資格があります。大関の昇進基準は3場所の勝ち星が33勝以上なので、13勝以上が求められますが、現時点で「大関候補ナンバー1」ですね。

「大関候補」と言われ続けている大栄翔は、来年30歳。最後のチャンスだと捉えないと、大関昇進は難しいでしょう。

2024年は若手の活躍に期待

――その他、注目の力士を挙げるとしたら、誰になりますか?

 活気のある押し相撲の豪ノ山や、新入幕の7月の名古屋場所で敢闘賞を受賞した湘南乃海もおもしろい存在です。193センチ、185キロの体格で、四つ身の相撲を覚えたら、まだまだ強くなります。

 十両では、12勝を挙げて優勝決定戦に進出した、新入幕が濃厚の大の里。大の里の兄弟子で高校、大学が一緒の高橋も注目したい力士です。

 2024年は、こうした若手がどんどん上位で活躍して、幕内の土俵を活性化してほしい。新横綱、新大関の誕生にも、おおいに期待したいところです。

武田葉月
ノンフィクションライター。山形県山形市出身、清泉女子大学文学部卒業。出版社勤務を経て、現職へ。大相撲、アマチュア相撲、世界相撲など、おもに相撲の世界を中心に取材、執筆中。著書に、『横綱』『ドルジ 横綱朝青龍の素顔』(以上、講談社)、『インタビュー ザ・大関』『寺尾常史』『大相撲 想い出の名力士』(以上、双葉社)などがある。

デイリー新潮編集部

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