「適者生存」という危うい論理――「俗流ダーウィニズム」が国家間の戦争を引き起こしている
近年は、欧米諸国の民主主義体制と、中国・ロシア等の権威主義体制とのあいだで、「体制間競争」の時代に入ったといわれている。
両体制のあいだで生存競争が繰り広げられ、より優れた体制の方が生き残る……このような認識の背景には、ダーウィンが唱えた「適者生存」という進化論的な考え方がある。
この「社会的ダーウィン主義」と呼ばれる思考が、かつて世界大戦を引き起こした――そう警鐘を鳴らしたのは、戦後日本を代表する国際政治学者・高坂正堯氏(1934~1996年)である。...