韓国の若者に大人気… 社会問題化する中国発「のけぞるほど甘い」菓子の正体

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「甘すぎ」で国会問題に

 しかし、中国にからんだ食品にはつい疑いの目を向ける習慣がついている親や多くの大人たちは、タンフールを嫌っている。一部からは「タンフール販売禁止」を訴える声まである。子供たちは「好きなものを食べていることに、なぜ、大人たちは干渉するのか」と反発しているが……。

 タンフールを嫌う理由のひとつは、糖の過剰摂取の弊害だ。世界保健機関(WHO)は、1日の摂取カロリーのうち糖類は10%未満を維持するよう勧めている。これに照らせば、1日の推奨カロリーが2,000kcalの成人女性の適正糖分摂取量は約50グラム、2,500kcalの成人男性の場合は約62.5gになる。ところが、統計によると、通常のタンフール1粒には10~25グラム程度の砂糖が含まれているという。つまり、女性は3粒、男性は4粒のタンフールを食べるだけで、1日の推奨糖分を超えてしまうことになる。

 タンフールの過剰摂取は、肥満を誘発し虫歯になりやすくなる。糖尿病などの病気の遠因にもなる。大人たちにとってはタンフールには短所しか見えないのだ。

 政界も乗り出し始めた。国会の1年の国政全般を振り返り評価する最大規模のイベントである「国政監査」でもタンフールが話題になり、10月25日の国会保健福祉委員会の国政監査では「ダルコム王家タンフール」の本社役員を召喚した。

 そこで保守与党「国民の力」所属のカン・ギユン国会議員は「タンフールが呼び起こす小児肥満と糖尿を多くの親が心配している。過度に糖分を使った食べ物で青少年の健康に悪影響を及ぼす」と指摘した。これに対し「ダルコム王家タンフール」側は「国が定めている糖含有量に適合するように開発した」と、タンフールの糖は過剰ではない、と反論した。

 結果、タンフールの販売禁止とはならず、商品に含まれる糖分の正確な情報を提供するよう協議するにとどまった。

タンフールを巡るもうひとつの問題

 タンフールの問題は過剰な糖摂取だけが理由ではない。ゴミ問題もまた、根が深いのだ。通常、タンフールは果物を長い串に刺して、その下に小さな紙コップを挟み込んで販売される。食べ終わった後、串や紙コップにはべたつく砂糖が残っているため、手に持っていたり、バッグに入れることが敬遠される。近くにゴミ箱が無ければポイ捨てされがちで、一時は学校の周辺や繁華街に落ちているタンフールのゴミがマスコミでも大きく取り上げられ、社会問題化した。

 最近は、国政監査がタンフールゴミの深刻さを指摘し、店の周辺に自主的にゴミ箱を設けた販売店も出てきた。これにより一部エリアのゴミは減ったようだが、弘大と江南、特に小学校近くの店の周辺には、依然としてタンフールのゴミがあちこちで見られる。

 ゴミを処理するのが不便なうえ、果物や砂糖液が飛び散る恐れがあるため、一部の店やショッピングモールでは、持ち込み禁止の「NOタンフールゾーン」が生まれてもいる。

 筆者が訪問したある飲食店でも、隣にタンフール専門店があるためだろう、入口に堂々と「タンフール持ち込みお断り」の張り紙が貼られていた。店の関係者は「タンフールを食べながら店に入ってくる青少年がいたが、ほとんどがゴミをそのまま置いていき、テーブルに砂糖がついてベトベト。掃除が大変」と嘆く。「お客さんをひとり逃してもタンフールで業務が不便になったり、他のお客さんに迷惑をかけるよりはいい」とつづけた。

 にもかかわらず、依然として子供と青少年の間で人気が根強いタンフール。世代断絶に広がりかねないと憂慮されてもいる。

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