逮捕が相次いでも「私人逮捕系はやめません」と語る20代YouTuber2人組の言い分「お母さんからは怒られましたが…」
「逮捕された人たちと活動内容が同じように見えるかもしれませんが、僕たちとは全然違います。どうぞ何でも聞いてください」。渋谷の喫茶室に現れたのは、いま巷で話題の「私人逮捕系YouTuber」2人組である。リーダーの男性は28歳、“弟子”はまだ顔にあどけなさが残る20歳の若者だ。逮捕者が相次ぎ、世間から猛批判を浴びているというのに、彼らは今日も駅に立って盗撮犯を「現行犯逮捕」するという。何を考えているのか話を聞いてきた。
***
【危険すぎると批判が殺到した動画】逃げる盗撮男を「ヘッドロック」。転倒後は「寝技」でノックアウト。ホームは「格闘技場」に一変。約180万回再生された
ホームで格闘。転倒してからの「寝技」でノックアウト
「暴れんなって、暴れんなって! 危ないから、お兄さん暴れないで!」
動画に映るのはホームで取っ組み合いをする2人の若い男だ。メガネをかけた大柄の男がヘッドロックして押さえ込もうとするが、小柄の男は必死に抵抗を続ける。やがて絡み合った状態のまま2人は倒れ込み、激しく地面に打ちつけられた。
すかさずメガネの男が寝技に入るが、小柄の男はなかなか観念しない。彼が必死に守るのは右手に固く握られたスマホだ。乗客たちも足を止めて修羅場を見守っている。「それ渡さないと終わらないって!」「本当にやってないっす」。小柄な男の抵抗は続いたが、メガネの男が馬乗りになったところで勝負あり。小柄の男は騒ぎを聞きつけ現れた警察官に引き渡され交番へと連れられて行った。
5カ月前に配信されたこの動画の再生回数は約180万回。彼らのチャンネルで最もバズった「私人逮捕」の瞬間を捉えた映像である。
これまで警察に引き渡した盗撮犯は150人
リーダーの澤田優さん(28)がこの活動を始めたのは今年2月から。高校卒業後、バー店長を経て風俗店に勤務していた時、同僚から「YouTuberをやってみない?」と誘われた。一旗あげたいと考えていた澤田さんはその誘いに乗った。
「どうせならまだ誰もやっていない新しい分野を切り開こう」。2人で話し合って決めたコンテンツが「私人逮捕系」だった。そして「スーパードミネーター」と名乗り、地元の横浜駅を中心に盗撮犯を捕まえる活動を手探りで開始した。
澤田さんが捕まえる役の演者で元同僚がカメラマン役。活動を始めて9カ月間で、これまで上げてきた動画は約250本、警察に引き渡した盗撮犯は約150人にのぼる。登録者数約9万人の私人逮捕系の中では人気チャンネルになった。
「週5日、朝は7時くらいから夜遅くまで駅や周辺の商業施設を見回りします。エレベーター前などで俯瞰して見ていると、行ったりきたりして怪しい動きをしている男が見つかります。最初に始めた横浜駅は女子高生が多く、『盗撮天国』みたいな場所になっていて、そこら中に盗撮犯が徘徊していた」(澤田さん)
[1/3ページ]