打撃補強に重点の中日「立浪監督」に残る不安 「ジェネレーション・ギャップを何とかした方が」

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失敗を前提に

 打撃指導の例にみられるように、チーム関係者や球団スタッフが残念に思っているのは、立浪監督と選手たちのジェネレーション・ギャップだという。

 今シーズン、試合前にお米を食べるべきではないと、立浪監督はチームの食堂メニューを見直させた。それに選手から不満が出たとのことだが、この件も「もっと消化の良いものを」「食べる量を見直して」と言い方を変えていれば、「米騒動」などと揶揄されて報道されることもなかったはずだ。

「立浪監督はサインを求められると、『氣』の字を書くことが多いんです。大島宇一郎オーナーもそれについて、『氣がチームに浸透するように』と話していました。来年は契約最終年でもある3年目。八方にエネルギーが広がるような、氣が浸透してほしいですね」(前出・関係者)

 期待の1位・草加について言うと、近年の中日では大卒1年目の投手があまり活躍していない。順調な滑り出しができるかどうかも立浪監督に掛かっている。

「柳裕也(29)、小笠原慎之介(26)、高橋宏斗(21)がいて、来季は大野雄大(35)も戻ってきます。涌井秀章(37)、仲地礼亜(22)、松葉貴大(33)もいて、先輩たちがしっかり勝ち星を積み重ねていけば、草加もノビノビと投げられるはず」(前出・名古屋在住記者)

 とくに柳がそうだったように、味方打線の援護に恵まれず、好投が報われない先発投手も多かった。中日は総得点390以外でも、チーム打率2割3分4厘、総本塁打71本、四球306もリーグワーストだが、いずれも極端に低いというわけではない。チーム打率5位の東京ヤクルトは2割3分9厘で、その差は僅かである。しかし、ヤクルトは総得点534でリーグ2位だ。出塁率と長打力の差だろう。

「いちばんの反省点は、選手をもっとやる気にさせる方法はなかったのかというところ」

 これは今季を振り返って述べた立浪監督のコメントだ。中日の三塁打数19はリーグ2位。盗塁数は36でリーグ5位だが、スピードと走塁センスを兼ね備えた選手は多いということだろう。二塁を蹴って三塁まで行くかどうかは選手の判断だが、今の中日選手は失敗を恐れ、二塁で止まってしまう感も見受けられる。トライしてのアウトは叱らず、再トライの機会を与えていけば、選手も「やる気」になるのではないか。 

 現役時代の立浪のような天才はそういない。守備で失敗した選手が出たら、ギリギリのところで失点を食い止めたバッテリーを褒め、次イニングの攻撃の士気を高める。失敗を前提に、チーム全体でその失敗を補っていくスタイルに変えていくべきかもしれない。そうすれば、地元ファン、関係者が望む「生え抜き、若手」も活躍するチームに近づいていけるのではないだろうか。

デイリー新潮編集部

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