『遠野物語』はたった5日の滞在で書かれた 偶然「民話の里」になった土地の現在(古市憲寿)

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 岩手県遠野と聞けば、柳田國男の『遠野物語』を思い出す人が多いだろう。遠野地方の伝承を集めた記録書である。だが柳田の出身は今でいう兵庫県。なぜ東北の物語を集めることになったのか。

 きっかけは早稲田大学の学生だった佐々木喜善との出会いだった。遠野出身の佐々木から不思議な伝承を聞き、柳田はえらく関心を持った。数回に分けて佐々木から話を聞き、『遠野物語』の草稿をしたためた。

 もちろん自身でも遠野に赴くことになった。では滞在期間はどれくらいだったのだろうか。...

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