遂に支持率20%台…ジャーナリストが指摘する「岸田内閣」3つの構造的欠陥「今後も負のスパイラルを下る」

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岸田首相の「還元」をひっくり返した鈴木財務相

 さらに岸田政権に欠けている「ガバナンス」。

 最近の例ではこんなことがあった。岸田首相が政権浮揚の起死回生策として掲げた経済対策。物価高に喘ぐ国民に最も訴える政策だ。

 夏ごろからアドバルーンを上げ始め、期待感を持たせたてきた。その中でも、過去2年間で所得税と住民税の税収が合わせて約3兆5000億円増えたことを踏まえ、「物価高対策として、国民に分かりやすく税の形で直接『還元』する」と言い続けてきた。いかにも税を頑張って納めている国民に感謝し、生活が苦しいいま戻しますと耳障りのいいアピールだ。

 ところが……。

「(過去2年間で)税収が増えた分は、政策経費や国債の償還などですでに使っている。減税をするというなら国債の発行をしなければならない」

 11月8日衆院財務金融委員会で鈴木俊一財務相は、今回の経済対策の財源を聞かれこう答えたのだった。

 岸田首相がこれまでずっと使ってきた「還元」をひっくり返すものだ。増えた税収3兆5000億はもう使って財源はない。今後、減税や非課税世帯支援で国民にお金を配るが、その原資は新たに国債で借金する。国債の返還は将来的に国民。つまり、いま配るお金は国民自身が借金して作りいずれ自分たちで返せということなのだ。

岸田首相と距離を置き始めた財務省

 さらに、所得税減税もたった一回きりでしかも実施は来年。評判は散々で、メディアの世論調査では、支持率回復どころか「経済政策に期待しない」がゆうに過半数である。

 自民党の財務政務三役経験者は言う。

「そもそも財務省とベッタリの岸田首相は、今回の所得税減税や還元なども事前に話をしていたはず。しかし、鈴木財務相が岸田首相の面子を潰すような発言をした背景には、官邸と財務省のパイプ役だった木原誠二官房副長官が週刊誌報道で官邸を離れ、関係が希薄になっていること。また、支持率対策のために人気取りで政策がふらつく岸田首相に財務省が距離を置き始め、主導権を握り始めた」

 まさに「ガバナンス」の崩壊だ。

 岸田政権の「還元」や「減税」の迷走について安倍政権時代官邸にいた元官僚は言う。

「大きな勝負をするのだから、まず官邸内で官房長官や副長官が方向や戦略を定め、閣僚内や各省庁のトップ、党の実力者などと事前に話をしてストーリーの意思疏通をはかる。現政権はそれがまったくできていない。たとえば、臨時国会前の会見で『還元』や『税制の軽減』など思わせぶりな言葉を使ってしまい、減税世論を盛り上げてしまったために、『なんだ、減税は消費税じゃないのか、所得税か』と逆にがっかりされたり、党内の根回しができていないから所得税減税に批判が出たりする」

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