遂に支持率20%台…ジャーナリストが指摘する「岸田内閣」3つの構造的欠陥「今後も負のスパイラルを下る」
民間企業なら人事の任命責任者は辞任
内閣支持率20%台の超低空飛行、迷走を続ける岸田文雄政権の構造的な問題はどこにあるか。
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それは政策能力云々以前の「危機管理」や「ガバナンス」といった政権運営と維持のための基本中の基本の欠如だと私は思う。
さらに、これを担う「側近」の存在もない。
この2年間、岸田政権はここを怠り、手を打ってこなかったツケがいま支持率となって表れているのではないか。検証したい。
「政権という組織が成り立っているのが不思議。民間企業ならこんなに人事で不祥事が出れば任命責任者は当然責任をとって辞任する。社員も『こんな会社じゃまともに評価されない』と嫌気がさして逃げ出す。それがのうのうと成り立っているのが政治の不思議なところだ」(民間シンクタンク代表)
今年9月に、低迷する支持率の挽回も考慮しながら行った内閣改造人事。ところが、副大臣、政務官人事は異例のスキャンダル続出ですでに3人が辞任した。
岸田首相はいつもの決まり文句「適材適所」と胸を張ったがとんでもない。山田太郎文部科学政務官は女性問題で、柿沢未途法務副大臣は選挙違反事件への関与で、そして神田憲次財務副大臣は税金滞納でそれぞれ辞任。特に神田氏は、補正予算や経済対策を主導する財務省本体の副大臣でありながら、2013年から22年にかけて自身が代表取締役を務める会社が保有する土地と建物の固定資産税を滞納した常習犯で、なんと4回も差し押さえを受けていたことが分かったのだ。
法務副大臣が選挙違反という法を犯した疑惑を招き、財務副大臣が税を滞納するという「まさにその役職と違反の中身がリンクしている。ブラックジョークとしての適材適所」(立憲民主党幹部)だが笑える話ではない。しかも、神田氏の更迭にも時間がかかった。
派閥が推すとそのまま素通り
なぜ、こんなことが起きるのか。これこそ象徴的な「危機管理能力」の欠如だ。
「副大臣と政務官人事は、自民党の各派閥から推薦で上がってきた議員を配分する仕組み。それをやるのは岸田首相ではなく側近や官房長官など。なので、派閥が推してくればそのまま素通りする。任命のあと週刊誌などは総力を挙げて不祥事など取材する。すると出るわ出るわでこんなことになってしまう」(自民党ベテラン議員)
しかし、過去人事で危機管理を徹底していた政権もある。2001年から5年続いた小泉純一郎政権だ。そこには陰で支えた飯島勲秘書官がいた。私が執筆した『汚れ役 側近・飯島勲と浜渦武生の「悪役」の美学』(2008年・講談社)の取材で、飯島氏から聞いた危機管理の鉄則がこの「身体検査」だった。
「まずは政治とカネ。閣僚はもちろん副大臣や政務官なども政治資金収支報告を徹底して調べる。こんなのは当たり前。もし怪しいのが見つかったら、先に修正させるなんていうこともやった」
飯島氏の凄さは、これ以外にも内閣情報調査室(内調)や警察庁などとのパイプを使って情報を確認したことだ。また、永田町の記者クラブに属する全国紙やテレビキー局の政治部ではなく、独自にスポーツ紙や週刊誌などのメディアに強力な人脈を築いてきたこともあって、そうしたところからスキャンダル情報なども大量に収集できた。
岸田政権にここまでチェックする側近はというと「官僚や議員では不在」(岸田派議員)という。仮に飯島氏なら、山田氏のケースは週刊誌筋などから、すでに警視庁が情報をつかんでいたとされる柿沢氏のケースはその筋から、また神田氏のケースは明らかに国税筋から情報を容易くつかみ処理しただろう。
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