「共産党盗聴事件」「出版妨害」 創価学会が隠したい“黒歴史”
国税サイドに対する工作
また、「共産党・宮本委員長宅盗聴事件」も黒歴史の一つだ。もともと創価学会と共産党は不倶戴天の敵同士。言論出版妨害事件当時、共産党は学会批判の急先鋒だったが、同党の宮本顕治委員長宅を創価学会幹部が盗聴していたことが、1980年に発覚したのである。
「こうした行為に池田氏による直接的な指示があったとは考えにくいです」
と述べるのは、『創価学会秘史』の著書がある、ジャーナリストの高橋篤史氏だ。
「池田氏は取り巻きの幹部たちにおおよその指導を行い、大幹部たちは“池田先生に傷をつけてはいけない”と自らの裁量で過激な行動に走った。ただ、そうした体質の組織を作り、部下の行動を黙認したという罪はあったと思います」
が、
「私もNTTドコモ関連会社の学会員によって、携帯電話の通話記録に不正にアクセスされる被害に遭った経験があります」
とは、前出の乙骨氏。
「池田さんの罪といえば、あれだけ巨大になった創価学会を利用し、己の私利私欲も満たしてしまったこと。学会が生んだ莫大な金や権力の一部が、池田さんを守るために使われてしまった側面は否定できません。その最たる例が税務調査についての疑惑です」
これは、公明党の元委員長、矢野絢也氏(91)が後に著書で明らかにしたものだ。
「当時、国税が創価学会や池田さん自身の税務調査をしていた。池田さんの私的な金と学会の金が混同されている疑いがあり、そこにメスを入れようとしたのです。これに震え上がった池田さんは矢野さんに命令し、国税サイドに対する工作を行わせたのです」(同)
「己を神格化することに余念がなかった」
これでは公明党設立も、後の政権与党入りも、学会や池田氏個人の利益を守るためと批判されても仕方ない。
『池田大作「権力者」の構造』の著書がある、ジャーナリストの溝口敦氏は言う。
「池田は世界各国から名誉学術称号を何百個も受けています。自分を飾り立て、信者に崇拝させ、己を神格化することに余念がありませんでした。また“財務”と呼ばれる寄付で学会に巨額の財産を渡し、苦しみを味わわされた信者も多かった」
宗教という聖なる世界の住人だった池田氏だが、実態はまことに俗なる人物で、時に邪の道にも足を踏み入れた。聖・俗・邪を一身にあわせ持つ“怪物”というのが「池田大作」の本質だったのか。
「池田氏は最期まで宗教の本質である“死”についての解を提示できなかった」
と、『創価学会』(新潮新書)の著書がある、宗教学者の島田裕巳氏が言う。
「池田氏の人生は“生きる”ことに大きな比重を置き、『現世利益』を徹底。信心によって勝利の人生を切り開くことができると説いた。その反面、死について掘り下げることがないまま、表舞台から去っていった。そこに宗教者としての限界があったのではないでしょうか」
人間・池田の真の評価は、死してなお定まりそうにない。
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