【楽天・安楽問題】壮絶パワハラ報道をプロ野球OBはどう見たか 「第一報で抱いた疑問」「刑法に抵触」「球団は宝塚と同じ失敗をする可能性」

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 いまだに「信じられない」というファンも少なくないだろう。楽天の投手・安楽智大(27)のパワハラ問題が大きな関心を集めている。YAHOO!ニュース上での第一報は11月25日の午前3時。日刊スポーツ電子版やスポニチアネックスなどスポーツ紙の全国紙4紙が、一斉に「安樂智大にパワハラ疑惑」と報じた。

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 FRIDAYデジタルは11月27日に配信した記事(註)で、既報のパワハラ疑惑を箇条書きでまとめた。引用させていただこう。

【1】今夏のロッテ戦前、ある選手へロッカールームで「倒立しろ」と命令。ズボンや下着をおろし下半身を露出させ靴下を被せたという。

【2】食事を断ったり電話に出ない選手へは「だからオマエはダメなんだ!」「バカ」「アホ」などの罵声を浴びせる。

【3】「罰金」と称して選手へ金銭を強要。

【4】かつて在籍した選手を’21年春のキャンプで平手打ちに。この選手はむち打ちの症状に。

 プロ野球の担当記者は「4点とも衝撃的な内容でした。【2】以外は刑法に抵触する犯罪行為の可能性があり、極めて悪質だと言えます」と指摘する。

「【2】の罵声は人権意識の乏しい企業などで今でも散見される典型的なハラスメントであり、被害者が上司や会社を相手取って訴訟に踏み切ることも珍しくはありません。【2】も被害者に深刻なダメージを与えることは言うまでもありませんが、他は桁違いに悪質です。【1】は性的暴行の可能性があり、【3】は恐喝罪や強盗罪に抵触する恐れがあります。【4】は明白な暴行罪で、【2】は強要罪が疑われる事案でしょう」

果たして「パワハラ」なのか?

 テレビやラジオのプロ野球中継に解説者として出演する一人は、匿名を条件にデイリー新潮の取材に応じた。

「私が最初に読んだ記事では安楽投手にパワハラの疑いがあるとしか書かれてなく、具体的な加害内容については触れていませんでした。そのため、『なぜパワーハラスメントという表現になるのだろう?』と疑問が浮かびました。と言うのも、プロ野球選手は球団と契約を結んだ自営業者であり、選手間にはベテランであれ新人であれ上下関係が存在しないはずだからです」

 その後、安楽の問題行動について具体的に報道されると、解説者は「パワハラという形容は間違っている」と思ったという。

「パワハラは職場などの上下関係に根ざしているので、監督やコーチなどの首脳陣と選手の間では発生します。しかし、選手間には指揮・命令系統は存在しませんから、パワハラは起きないはずなのです。安楽投手が行ったと報道されている行為は悪質な『いじめ』であり、性暴力や恐喝罪など、刑法に抵触する恐れがあるものです。パワハラの枠は超えており、パワハラという現代的な課題が浮かび上がったのではなく、昭和の野球における問題点が再浮上したような気がして、不思議な気持ちになりました」(同・解説者)

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