「体重が減らなかった人はいない」「平均で6~7キロやせる」 最強の「やせ薬」オゼンピックとは 副作用はある?

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肥満症治療薬=怖い?

 今年3月、オゼンピックと同成分のウゴービが肥満症薬として承認されたことは先に触れた。それまで、日本で保険適用されている肥満症治療薬は、サノレックスだけだった。しかし、

「これは保険適用の期間が3カ月のみであることや、精神依存や身体依存の覚醒剤作用があることから使用がはばかられていました。また、アメリカでは複数の肥満症治療薬が流通していましたが、残念ながら心臓弁膜症を発症させてしまうなどの問題点があり、肥満症治療薬として日本に入ってくることはありませんでした」

 山田氏(前出)はそう語る。

「このように日本では肥満症治療薬=怖いというイメージがあり、ウゴービの承認までは、肥満症の内科的な治療の手はないと言っても過言ではありませんでした。胃の一部を切除するような肥満手術の方が、圧倒的に治療成績が良かったのです」

 実際、これまで高度肥満(BMIが35以上)の人を対象に2千例以上の手術を施してきた「四谷メディカルキューブ」減量・糖尿病外科センター長の笠間和典氏はこう話す。

「外科手術だと、一回の手術で20年間体重減少が維持できるということが証明されています。また、長期性血管障害や心血管障害についても、手術によって発症を防ぐことができ、結果的に死亡率を下げることも分かっています」

「肥満症における食欲は甘くない」

 ただし、その笠間氏もGLP-1受容体作動薬を全く使わないわけではなく、

「外科手術後、一部の人は食生活の改善ができずに、せっかく減った体重が戻ってしまう場合があります。こういった人にGLP-1受容体作動薬を投与すると、食欲の変化や胃の停滞が起こり、非常に良い効果を発揮してくれています」

 先の山田氏が言う。

「肥満症なんて美食や暴食を我慢すれば良くなると思いこんでいる方もいるでしょう。しかし、肥満症における食欲はそんなに甘くありません。例えば、胃から分泌されるグレリンという物質の血中濃度が高いと、抗いようもなく食べてしまうのが人というものなのです。肥満症に内科的治療手段ができたのは極めて喜ばしいことです」

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