「体重が減らなかった人はいない」「平均で6~7キロやせる」 最強の「やせ薬」オゼンピックとは 副作用はある?

ドクター新潮 ライフ

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“魔法の薬”

 そんな中で登場したのが、GLP-1受容体作動薬だ。

「2010年、まずリラグルチド(ビクトーザ)という薬剤が登場しました。しかしこれは毎日注射する必要があった上、劇的な体重減少効果はありませんでした。後に週1回注射するGLP-1受容体作動薬・デュラグルチド(トルリシティ)が製剤化されましたが、やはりこれも体重減少の効果はほぼありませんでした」(同)

 つまり、GLP-1受容体作動薬=大幅な体重減少効果がある、というわけではないのだ。

「GLP-1受容体作動薬が出てきたことで糖尿病治療の世界が変わったというよりは、18年のオゼンピックの出現で状況が変わったのです。2型糖尿病の治療ができて、体重減少効果も見込め、腎臓や心臓への合併症を予防してくれることも研究で証明されている、いわば“魔法の薬”が手に入ったというわけです。今はそのオゼンピックよりも体重減少効果が高いチルゼパチド(マンジャロ)もあります」(同)

GIP受容体にも作用

 マンジャロはGIP受容体にも作用する薬剤である。

「そもそもGLP-1やGIPとは、インクレチンホルモンです。GLP-1、GIPは共に血糖値が高い時だけインスリンを分泌させることが主な作用で、GLP-1は心保護・心拍出量の増加・脂肪分解・満腹感惹起等の、GIPは脳の神経前駆細胞増殖・脂肪蓄積等の作用もあります」(同)

 GLP-1もGIPも体内でDPP4という酵素によって分解されるため、10%未満しかすい臓に届かない、とされる。

「最近では、GLP-1はダイレクトにすい臓に作用するよりも、迷走神経を介して脳に働き、各器官に作用するのではないかと考えられています。GIPも元来は脂肪蓄積を介して体重を増加させると考えられていました。しかし最近の動物実験ではGLP-1作用のないGIP作用単独の模倣薬で、レプチンというホルモンの血中濃度が上昇し、体重が減ることが示されました」(同)

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