出会いは定食屋、惚れた相手は“スナック勤めのシングルマザー” アラフォー男性に結婚を決断させた29歳の時の“あやまち”

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 離婚、再婚が増えていくと、相手が前のパートナーと現在、どんな関係なのかが気になるカップルも多くなるかもしれない。実際、妻が前夫と仲良しで、それが不安の要因となっている男性がいる。

 荒川輝司さん(42歳・仮名=以下同)は、3年前、同い年の英美里さんと結婚した。英美里さんは再婚だった。コロナ禍だったため婚姻届を出しただけの結婚だったが、当時、5歳の英美里さんの娘・栞さんも彼に懐いていた。

「出産直後に夫の浮気がわかって離婚したと聞いていたので、家に来る男性は珍しいだろうと気を遣ったし、僕は英美里に嫌われたくないから、もちろんご機嫌もとっていた。知らない男の人だけど怖くはないから懐いておこうと、子供心に思ったんじゃないでしょうか」

 輝司さんの言い方には棘があった。初婚の輝司さんと、再婚の英美里さんの間にはどんなドラマがあったのだろう。

スナックへ子連れ出勤…同情と憧れ

「残業帰りに近所の定食屋に寄ったんです。そこで英美里が栞を連れて食事をしていたんですが、何が気に入らなかったのか娘がぐずっていて、英美里は困り果てていた。周りの目を気にして『栞、早く食べて帰ろ』と言うんだけど娘は文句を言ったり泣いたり。なんだか気の毒になって、仕事に関係している子ども用のグッズを見せて気を引いてみたんです。すると彼女はピタリと泣き止み、『ありがとう』と笑顔を見せた。聞いたところによると彼女の大好きなキャラクターだったそうです」

 それが英美里さんとの出会いだった。英美里さんは彼にお礼を言うと、「すぐそこのスナックにこれから出勤するの。一杯おごるから来てくれない?」と笑顔を見せた。子連れで出勤と聞いて彼は同情し、一緒に行くことにしたという。

「住宅街のスナックですから、ぼったくるつもりでもないだろうと思ったし、なにより英美里は子どもを抱えて一生懸命生きているように感じられたんです。とはいえ僕は長く恋愛もしていなかったから、ちょっと自信はありませんでしたが」

 定食をさっと食べ、輝司さんは英美里さんと一緒に店に行った。眠くなってうとうとしている栞さんは、彼が抱いて行った。英美里さんが向けた笑みに、彼は今まで女性に対して感じたことのなかった色香を覚えた。

「色っぽい目をするんですよ。それが下品ではなく、なんともいえず男の気持ちにほのかに入り込んでくるような色香なんです。それに魅せられてついていきました」

 店にはママがいて、客が数人いた。彼女はカウンター裏にある小部屋に娘を寝かせると、すぐに出てきて「水割りでいい? 私の奢り」とカウンターにグラスを置いた。彼女は週に4回、その店で働き、昼間は週5日、とある化粧品会社の美容部員としてデパートなどで働いていると話した。

「今日はたまたま保育園がコロナの影響で休みになっちゃって。娘ひとり置いていくわけにはいかないからと、英美里は言い訳のように話していました。シングルマザーは大変だなあと言うと、『みんな大変よ』と彼女はサバサバ言うんです。たくましいなあと思いました」

 同情と、たくましい彼女への憧れのような気持ちがないまぜになった。

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