三浦瑠麗氏に勝訴した53歳「テレ朝サラリーマン弁護士」が退職して「弁護士事務所」を開業したワケ「正義を貫いて人生を終えたい」

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「ここで泣き寝入りしたら、自分が壊れてしまう」

 西脇氏はそのツイートに対してブチぎれ、名誉毀損やプライバシー侵害にあたると三浦氏を訴えたのである。

 所詮はツイートだから無視すればいい、という考え方もあったはずだ。ましてや相手はテレ朝の看板番組である「朝まで生テレビ」のレギュラーコメンテーターだ。そもそもトラブルの元となっている元妻も同僚である。通常の会社員であれば、関係者を引っ掻き回す裁判沙汰は避けようと考えたかもしれない。

 だが、西脇氏は「ここで泣き寝入りしたら、自分が壊れてしまうと感じた」と、周囲の反対を押し切り、自ら法廷に立って戦った。そして最高裁まで争い、今年3月に勝訴をもぎ取った。3年8カ月もの月日をかけて得たものは30万円の賠償命令。まさに男の意地を貫き通したのだった。

 それだけにとどまらず今年6月、この法廷闘争を『孤闘 三浦瑠麗裁判1345日』(幻冬舎)という本にまとめて緊急出版した。これもまた業界をどよめかせた。

 当然、本を出せば再び関係者を刺激することになる。立派に戦い抜いて勝ったのだから黙っているのが花と考えるべきところだ。だが、ここでも西脇氏は「自分の経験を歴史に残しておきたい」と我を押し通した。

会社からは「お咎めなし」だったのに…

 ここまでの話で疑問に思うのは、このような西脇氏の「個人活動」に対してテレビ朝日がどう対処してきたかであろう。記者もこれまでその疑問を西脇さんに幾度となくぶつけてきた。上司や同僚からの嫌みを言われたり、嫌がらせ、圧力、妨害などはないのか。ぶっちゃけ、会社で浮いた存在になっているのではないか――。

 だが、西脇氏は「上司には『ご迷惑をおかけします』と報告しながらやってきた。業務に迷惑をかけないようやっているので筋を通してはいます」といつも答えていた。前出のテレ朝関係者も「会社としても本音では眉を顰めているかもしれませんが、個人が裁判を起こす権利まで制限することはできなかったのが実情」と話す。実際、出版直後に西脇氏はヒラ社員から法務部長に出世していたし、裁判や出版が原因で会社を追われたわけではなさそうだ。

 では前置きが長くなったが、なぜ急転直下、退職することになったのかご本人から事情を伺っていこう。

「三浦さんとの裁判は個人的な活動だったとはいえ、会社に迷惑をかけたことは事実でした。わがままを貫き通した私を部長に昇進してくれた会社に感謝し、7月の時点ではこれまで通り法務部で頑張っていくつもりだったんです。ただ、本を出版したことで私の中で大きな変化が起きた。入社の動機だった報道取材への思いが、再び燃えてきた」(以下、西脇さんの話)

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