48億円超“由伸マネー”でもオリックスの投手補強は難航 トレード先として浮上する球団は阪神か

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オリックスに入る「48億円」

 11月23日、大阪市と神戸市で阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝記念パレードが行われた。「関西シリーズ」を盛り上げ、阪神の38年ぶり日本一で終わった23年シーズンを締めくくる盛大なパレードだった。もっとも、オリックスはその余韻に浸るヒマもなさそうで、翌24日には黒木優太(29)と日本ハムの吉田輝星(22)=共に投手=のトレードが発表された。18年に金足農(秋田)のエースとして、夏の甲子園でチームを準優勝に導いた吉田は今年、3試合登板で白星なし。新天地で活躍できるのか注目だが、オリックスには最優先で取り組まなければならない課題がある。

 米・東部時間11月21日午前8時(日本時間21日午後10時)、オリックス・山本由伸(25)と、メジャーリーグ(MLB)各球団との交渉が解禁された。

「2億ドル(約300億円)をはるかに超える契約が結ばれるだろう」

 MLB公式サイトは米フリーエージェント(以下=FA)市場にいる投手のなかで、もっとも高額な契約になるとも予想していた。

「昨オフ、レッドソックスに移籍した吉田正尚(30)は5年総額9000万ドル(約134億円)、オリックスに支払われた譲渡金は約23億円でした。仮に山本が総額2億ドルの契約を交わせば、約48億円が支払われる計算になります」(スポーツ紙記者)

 オリックスは、その巨額の資金を元手に、エース喪失の穴を埋める大型補強を進めるだろうと言われていた。今季11勝を挙げた左腕・山崎福也(31)のFA宣言も止められず、このままでは先発投手陣がコマ不足になることは明らかなためだ。

「山崎と交渉したヤクルト、DeNA、日本ハムは『4年8億円超』の条件を提示、さらにソフトバンクは12億円でした。いきなり4倍強の年俸で、どの球団も山崎をエース級の扱いです。今のところ残留の可能性はかなり低い。オリックスは早々に、ナショナルズのアンドレス・マチャド(30)の獲得を決めましたが、あくまで中継ぎタイプのピッチャーです」(前出・同)

 オリックスの先発陣は宮城大弥(22)、田嶋大樹(27)、山下舜平大(21)、東晃平(23)、そして曽谷龍平(22)などもいるが、山本の投げる試合の勝率は7割超と群を抜いている。せめて、確実に2ケタ勝利を計算できる投手を獲りたいところだろう。

「4連覇を目指す優勝チームと交換トレードをするチームはないだろうと言われています。主力や潜在能力の高い選手をわざわざ出したら意味がありませんからね。少なくとも、パ・リーグの球団はためらうはずです。セ・リーグの球団も、ほとんどが投手不足に苦しんでいます。先発要員を出せる球団はまずないのでは」(NPB 関係者)

捕手か外野手が欲しい阪神

 そんな中で、オリックスのトレード相手として関係者の間で急浮上しているのが、他ならぬ岡田阪神だという。

 岡田彰布監督(65)はFA交渉・補強が解禁となった11月16日、「そんなん、全然」と首を振り、大掛かりな補強には興味がないようなコメントを出していた。トレードも仕掛けることはないとしていたが、

「相手から持ち掛けられた商談にも応じない、とまでは言っていません。阪神の補強は外野手と捕手がポイントです。ただ、岡田監督の望む“打てる外野手”は、若手の成長に期待しながらも、即戦力は欲しいところ。さらに問題なのは捕手です。正捕手の梅野隆太郎は来季33歳、2番手の坂本誠志郎も31歳になります。期待されている若手の中川勇斗はまだ19歳で、梅野、坂本と3番手以降の捕手の力量差が大きいので、阪神は20代半ばの捕手を探しています」(在阪メディア関係者)

 今秋のドラフト会議の大方の予想では、阪神は捕手を指名すると思われていた。しかし、支配下はもちろん、育成枠でも指名を見送っている。

「意中の選手を他球団に指名されてしまったのかもしれませんが、捕手と岡田監督が求める『打てる外野手』の補強は手付かずのままです」(前出・同)

 外野手と言えば、広島からFA宣言した西川龍馬(28)が早々にオリックス入りを表明した。「パ・リーグで通用するかどうか試したい」という本人談に加え、「実家がオリックスの本拠地・京セラドームに近い」「昨年オフもFA行使するかどうかで迷っていた」などの情報もあり、移籍は濃厚と見られていたが、こんな指摘も。

「西川の加入で打線は強化されるでしょう。しかしオリックスの外野は、捕手の森友哉(28)、内野手登録の野口智哉(24)らが兼務してきた。専門外野手もいますが、基本的に打撃力優先でスタメンを組んできたからです。森や内野手の外野手兼務は来シーズンも続くでしょう。また、来季のショートは紅林弘太郎(21)がレギュラーとして固定されそう。そうなると、中堅クラスの野手なら放出できる状況にはあります」(前出・同)

 西川のオリックス入りで、人的補償も発生する。オリックスは選手層が厚いため28人のプロテクト名簿を作成するものひと苦労だという。

「この問題が解決したら、トレードを仕掛けてくるのではないでしょうか。長打も期待できる外野手を交換要員に挙げれば、阪神も検討するかもしれません」(前出・NPB関係者)

 というのも、オリックスとは対照的に、阪神は先発投手層が厚くなりそうだからという。

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