支持率が最低水準の岸田総理に元側近が苦言「信念がないから“語る力”がない」「奥の座敷には入れてくれない」

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“明日枯れる花にも水をやる心”

 三ツ矢氏は初当選後、1期目の時は無派閥で活動し、2期目に宏池会に入会した。そのきっかけになったのは、

「かつて宏池会の会長だった大平正芳さんの言葉でした。大平さんはある時、政治とは何かと問われ、こんな言葉を残しています。“明日枯れる花にも水をやる心”。光の当たらないところにも光を当てる、弱い立場の人にも手を差し伸べるのが、政治の役割だと。その言葉に共感し、入会したんです。当時、宏池会は旧古賀派と旧谷垣派に分かれていましたが、その後、有隣会(谷垣グループ)を立ち上げることになる谷垣禎一さん(自民党元総裁)は非常に懐が深く、この世界で数少ない尊敬できる政治家でした。物事を決めつけるのではなく、多面的に見える方で、教養の深さがそれを裏付けていた。非常に宏池会らしい政治家だと感じ、私は有隣会のチャーターメンバーになったんです。いまの岸田さんは谷垣さんに宏池会らしさを学んだ方がいいですよ」

 というのも、

「前回総裁選の半年くらい前でしょうか。いきなり岸田さんから携帯に電話がありました。そこで岸田さんは“自分は発信力が弱いとある人に言われた”と語り、ついてはこういうことを発信したいと、2つの政策を挙げました。一つは敵基地攻撃能力の整備。もう一つは中国の海警が武器を使用できることになったことを受け、海上保安庁も同様に外国船に武器を使用できるようにする海上保安庁法の改正でした。私は岸田さんに“およそ宏池会らしくない政策ですね。安倍(晋三)さんから言われたのですか”と聞くと、“いや直接じゃないんですけど……”と話していました」

所属議員の前で説明してください

 結局、岸田総理はこの電話の後、2つの政策について表現を変えて、ツイッターなどで訴えていくことになる。

「その後、私は岸田さんに“宏池会の会長なのだから、あの政策は派の方針になりますよ。正しい、というなら所属議員の前で説明してください”とお願いしたんです。しかし、岸田さんは結局説明することはありませんでした。当時、私は派閥の事務総長代行。説明がないなら代行を辞めさせてくれ、ともお話ししました」

 代行辞任問題は岸田総理に慰留され、そのままになったが、いまも政策への疑問は残る。

「防衛費をGDP比2%に増額していくことも、岸田さんが本当に必要だと感じている政策だったのでしょうか。岸田さんは“宏池会らしさ”という言葉を出すと嫌がります。しかし、宏池会らしさというのは決してリベラルであれ、ということではなく、先に大平さんの言葉で触れたように弱い立場の人に手を差し伸べていくことです。国民生活を考えれば、所得税ではなく、食料品にかかっている軽減税率をさらに下げる方がよほどいい。やはり、いま国民が最も関心を持っているのは経済。このままでは日本は本当に沈んでしまう。金をかけずにできる政策はいくらでもあるはずです」

 支持率低迷からの打開策が全く見えない岸田政権。“身内”からの苦言を総理は聞くのだろうか。

デイリー新潮編集部

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