巨人・阿部新監督も続けるか? 就任1年目でリーグ制覇を成し遂げた「名将列伝」、“原監督の恩師”やパ・リーグで無双した「V9の頭脳」も

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在任9年間でリーグ「優勝8回」、「日本一6回」の知将

 今オフ、巨人・阿部慎之助、ソフトバンク・小久保裕紀、楽天・今江敏晃の新監督3人が誕生した。彼らが初年度にどんな成績を残すか注目されるが、過去には就任1年目でチームを優勝に導いた指揮官も多く存在している。【久保田龍雄/ライター】

 就任1年目に日本一を達成したばかりでなく、在任9年間でリーグ優勝8回、日本一6回という文句なしの成績を残したのが、西武・森祇晶監督である。

 1985年オフ、広岡達朗監督が1年契約を残して電撃辞任すると、V9巨人の正捕手であり、広岡監督の参謀としてヤクルト、西武で3度の日本一に貢献するなど、勝つための方策を知り尽くしている手腕を買われて後任に指名された。

 ドラフト1位の黄金ルーキー・清原和博をはじめ、若手を育てながら勝つという難しいノルマを課せられたが、翌86年は「守りを中心に確実に点を取る」野球をチームに浸透させ、近鉄との熾烈な争いを制してリーグ連覇、広島との日本シリーズでも3連敗(初戦は引き分け)から4連勝という驚異的な粘り腰で3年ぶりの日本一を実現した。

 その後も1990年の日本シリーズで古巣・巨人を4タテして4度目の日本一を達成するなど、V9時代の巨人に匹敵する黄金時代を築き上げたのはご存じのとおりだ。

 2021年の監督就任後、2年連続最下位だったチームをリーグ3連覇に導いたオリックス・中嶋聡監督が、どこまで森監督の域に迫れるかも興味は尽きない。

監督の勝率ランキングで歴代3位に輝く“原監督の恩師”

 続いて、取り上げる名将は、就任1年目の日本一をはじめ、2期にわたる在任7年間でリーグV4回、日本一2回を達成した巨人・藤田元司監督だ。監督の勝率ランキングでは、南海・鶴岡一人と巨人・川上哲治に次ぐ歴代3位の.588をマークしている。

 1980年オフ、長嶋茂雄監督が解任され、王貞治も現役引退と、チーム全体に明かりが消えたような寂しさが漂うなか、「火中の栗を拾う覚悟」でバトンを引き継いだ藤田監督は、就任直後のドラフトで4球団競合の次代のスター・原辰徳を引き当て、一気に暗雲を吹き払う。

 そして、翌81年は江川卓、西本聖の両エースを中心とする強力投手陣に、打線も新4番・中畑清や原、篠塚利夫、松本匡史らが台頭。V9以来8年ぶりの日本一を実現した。

 長嶋監督時代の“地獄の伊東キャンプ”を体験した若手が一気に芽を吹いたことから、“長嶋遺産”とも呼ばれるが、第二次政権下では、自らサイドスローに転向させた斎藤雅樹が2年連続20勝をマークするなど、投手出身監督らしく、投手の育成や起用法に非常に長けていたことも見逃せない。

 ドラフト以来のご縁から“藤田監督の愛弟子”といわれた原も、師匠同様、長嶋監督(2期目)の後継監督に就任すると、2002年、西武を4タテで下し、初年度に日本一を達成している。

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