阿部巨人 ウォーカーは巨人の当てが外れてパ・リーグへ…新戦力「高橋礼」「泉圭輔」投手の意外な評価
なぜ、セではDH制が導入されないのか
他の5球団がDH制導入に難色を示した理由は、チーム編成にあったという。簡単に言えば、「打つだけの専門選手」がいない。代打要員はいるが、その得点好機に出す切り札をDHとしてスタメンで起用することになれば、選手の数を増やさねばならない。DH制を前提とした選手補強をしてこなかったので、その補強費用が余分に掛かる…。長くクリーンアップを任せてきた主力打者が年齢を理由にDH転向となるケースが想定される。選手寿命が延びれば、「主力打者=高額年俸」なので、チーム総年俸にも影響してくる、といったものだった。
「9人制から10人のDH制に変われば、総合的な戦力が変わります。その急激な変化にはすぐに対応できないということでしょう」(在阪球団スタッフ)
では、MLBではどうだろう?
20年と21年シーズン、9人制でペナントレースを行っていたナ・リーグが、やはりコロナ禍の影響による投手の負担軽減のため、暫定的だがDH制を導入した。
「投手が打席に立たなくて済み、若い選手に出場機会を与えられるなど、DH制の利点が見直され、22年シーズンから正式にDH制導入となりました」(米国人ライター)
ビデオ検証やコリジョンルールなど、MLBで導入された新ルールがのちにNPBでも採用されている。そのため、「セ・リーグもいずれDH制導入か」との雰囲気が漂い始めた。さらに、ナ・リーグのDH制採用によって、世界の主要プロリーグのなかで9人制を続けているのは、NPBのセ・リーグだけとなった。その最中の補強で、巨人は読み違いをしたと言われる。それがウォーカーの獲得だった。
「アメリカ独立リーグ出身ですが、DHで試合に出ていました」(前出・米国人ライター)
努力家で、巨人入りしてからも試合前に守備練習やスローイングの練習を積み重ねてきた。しかし、守備難は解消されず、出場試合数が激減した23年シーズン中に、「途中放出、トレード要員」の声も聞かれるようになった。チーム内でウォーカー放出の噂が出ていたことは、打撃チーフコーチだった大久保博元氏(56)も自身のYouTubeチャンネルで証言している。
今回のウォーカー放出は、巨人サイドの「彼は努力家なので、なんとかしてやりたい」との思いからだが、DH制導入を読み違えた前政権の残務整理という声さえ上がっている。
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