宝塚新理事長が「いじめはあったのでしょう」と吐露 生徒は「ご遺族に誠意を」と要求も「今回認めたら全てを認めることに」
「ビッグモーター社長と同じ」
遺族側代理人の一人は、かつて電通過労死事件で労災認定を勝ち取った川人博(かわひとひろし)弁護士。また、亡くなる直前のAさんの総労働時間は月437時間で、法定労働時間からの超過分は277時間。ちなみに過労自殺認定は160時間以上が目安だという。
株式会社リスク・ヘッジ取締役の田中辰巳氏は、
「川人弁護士は、過労死を中心とした労働問題のエキスパートで、常に労働基準監督署を動かそうと行政に働きかけていきます。穏やかながらシャープな物言いで会見もうまく、企業にとっては手ごわい相手でしょう」
そう前置きしながら、
「劇団の会見で一番問題だったのは“週刊誌報道が故人に精神的プレッシャーを与えた”とした点です。工場長のせいにしたビッグモーター社長と同じで、私は他に責任を分ける『他分(たわけ)論法』と呼んでいます」
そもそも第三者委員会による調査とは、
「当該企業が対価を支払って依頼するもので、警察や労基署のようなプロの検証ではありません。不都合な結果は真摯に受け止め、今回のような『いじめはなかった』という好都合な結果は参考程度にとどめなければならないものを、金科玉条のように言い切ってしまったのだから大失敗です。結果的に労基署の調査を大きく引き寄せることになったと思います」
〈素晴らしい舞台は暴力と搾取の上に成り立ってきました〉
実際に、日本労働弁護団幹事長の佐々木亮弁護士は、
「過労自殺が認定される月の超過160時間をさらに100時間以上超えるとは、考えられない労働です」
そうあきれつつ、
「歌劇団の労働者性は明らかになっておらず、労基署の調査対象になっていなかったのでしょう。パワハラがあれば労災は認められやすくなりますが、今回の場合は労働時間だけで十分クリアできると思います」
宝塚では5年目までは歌劇団社員、6年目からは個人事業主として業務委託と、契約方法が変わるのだが、
「今回の故人は業務委託契約とはいえ、使用者の強い指揮監督の下にあったので労働者と見なされると思います。労災認定された後は損害賠償請求ができ、慰謝料と逸失利益が支払われることになるでしょう」(同)
宝塚OGの東小雪さんは本誌に、古巣の体質をこう喝破していた。
〈あの素晴らしい舞台は暴力と搾取の上に成り立ってきました〉
そんな歌劇団ならぬ「カルト団」には、解体的出直しが不可避である。
■相談窓口
・日本いのちの電話連盟
電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)
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・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
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・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570・064・556(対応時間は自治体により異なる)
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・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
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