「もう一人産みたくなる」 奇跡の保育園「やまなみこども園」は何がスゴい?

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保護者が園の運営資金を補うためにバザー

 道枝は子供のために良いと思えば、決められている数以上の職員を雇い、子供たちには心が震えるような新しい経験を次々にさせた。それが子供たちの成長に良い影響を与えるのは明らかだったが、国から補助金をもらわずに理想を追い求めるのは容易なことではなかった。そんな園を支えてくれたのが、道枝の志に賛同する保護者たちだった。

 彼らは保護者会を結成して毎週のように集まり、夜に酒を酌み交わしながら親睦を深めた。そして園の運営資金を補うためにバザーを開いて毎年100万円以上のお金を集めたり、ボランティアとして日々の業務の手伝いをしたり、所有する畑や森を子供たちのために提供したりして運営を後押しした。このようにして、保護者が園の職員と一体になって子供を育てる仕組みが出来上がったのである。

親子一体化する行事

 二十数年前、そんな園と保護者の関係を象徴する出来事があった。台風によって旧園舎が大きな被害を受け、閉園寸前まで追いつめられた。すると、保護者たちが団結して園を継続させようと、物販や募金によって2年で1千万円もの資金を作った。そしてそれをもとに自分たちが保証人となって銀行から8千万円の融資を受け、新園舎を建設したのだ。

 こうした園と保護者の強く密接な関係は今も脈々と受け継がれているという。道枝は次のように語る。

「保育の場は、職員だけのものではなく、保護者を含めたみんなのものだと考えています。全員で“寄ってたかって”子育てをする場所であり、そこで保護者はできることは喜んで引き受け、かかわっていく。バザー、夕涼み会、遠足、キャンプといった恒例行事はもちろん、日々の清掃や修繕、それに今回見ていただいたサワラの解体のような自発的なミニイベントなど、何から何まで力になってくれているのです」

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