「春菊天そばのボタンが見つからずパニック」、「後ろに並ぶ常連客の舌打ち」…ファストフード店で急増する“タッチパネル式券売機”は本当に効率的か?

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どこに商品があるのかわからない

 スーパーのセルフレジは、人手不足の時代には店側からすれば重宝するものかもしれない。だが、一方で万引きが増えたり、万引きを未然に防ぐために人員を配置したりすることもある。果たして、そこまで効率化に繋がるものなのか? そもそも、レジ本体の価格はいくらするのか? ファストフード店やラーメン店にもセルフレジというか、券売機があるが、その価格(新品)を「券売機ドットコム」から見てみる。

 個人ラーメン店等にあるボタンを押すタイプは56万6500円~198万円。チェーン店に多い複雑なカテゴリーにも対応できるタッチパネル形式は88万5500円~237万500円だ。たしかに、長期間使えば人件費を回収できるかもしれない。とはいえ、基本的に「注文を取る」→「記入する」→「会計をする」という手間にかかる時間は合計2分ほどであろう。時給1000円のバイトの手間と考えると、「券売機を導入してそこまでコスト削減効果あるんか?」と思ってしまう。それと同時に、使い手の客としてはけっこうキツい面もある。

 特にタッチパネル形式なのだが、初めて入る店だと、一体どこに自分の目指すべき商品があるのかが分からない。たとえば立ち食いそば屋。「温かいそば・うどん」「冷たいそば・うどん」「丼」「セット」「トッピング」「飲み物」「キャンペーン中」などのカテゴリーに分かれている。先日入った店で、私はキャンペーンの「エビ天1本無料増加」のそばを頼むことを店頭のポスターで決めていたのだが、同行者はある程度あたりを付けた上で、食券機のメニューを見ながら決めようと考えていた。

常連による圧

 私が食券を得た後、彼女は「温かいそば・うどん」のページを見ていたが、なかなか決められない。その段階で、頭の中は「春菊天・温玉入り」になっていたのだが、肝心の春菊天そばのボタンが発見できない。だったら代替として何がいいのか? と思うものの、ピンと来るものはないので、「キャンペーン中」のパネルに移動したところで一気に5人の客が彼女の後ろに並んだ。

 これにパニくった彼女は離脱を決意。後ろに並ぶ5人の男性の「早く決めろよ、オラ」的な「常連による圧」に耐えられないと考え、一旦列から外れ、壁にある一部商品の書かれたメニューを見て、その中で野菜と蛋白質が多そうなその店のフラッグシップ的メニューを頼むことにした。要するに一番金額が高いメニューである。

 結局、その注文品が来た時、「えっ? こんなに大きい油揚げが入ってるの?」という感想になり、正直彼女の満足度は低くなった。席に着いてメニューがあればじっくりと注文するものを選べるわけで、もしかしたら追加のトッピングやらビールなども頼むこともあるわけだ。すると店にとっても売り上げ増になる。

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