【ブギウギ】東京編に移って視聴率も上昇気流に…鮮明になりつつある作品のメッセージとは

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熱演・好演が光る出演者たち

 趣里は初回から一貫して熱演中。置きにいっているような演技が一切ない。どの演技も考え抜いて行っているように見える。また、大阪編ではどう見ても少女だったが、今はすっかり大人の女性。表情や仕草を変えているためだ。メイクだけでは無理である。

 六郎役の黒崎もいい。六郎は鈍いだけでなく、純粋なのはご存じの通り。この役を演じるのは難しい。単に鈍い男なら割と簡単かもしれないが、それではスズ子ら家族にも視聴者にも愛されない。

 36回。召集令状を受け取り、「おかあちゃん、赤紙来たでー!」と欣喜雀躍した六郎の姿が哀しかったのも黒崎が好演しているから。鈍いだけだったら、失笑されかねない。

 戦前編はまだ続くが、早くも戦後編で「東京ブギウギ」が歌われる日が楽しみだ。いまだCMソングなどに使われ、歌い継がれている名曲を当時の人々はどう受け止めたのか。

 なにより、この歌が流れた時、街の色と人々の表情はどう変わったのだろう。それを制作陣はどう再現するのか。このドラマのクライマックスになるのは間違いない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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